声明・談話

2016年11月9日

アメリカ大統領選挙の結果について(談話)

社会民主党幹事長 又市征治

1.本日、アメリカ大統領選挙の開票が行われ、共和党候補のドナルド・トランプ氏が接戦の末民主党候補ヒラリー・クリントン氏を下した。政治経験は全くないものの著名な実業家であるトランプ氏の、「偉大な米国を取り戻す」との訴えが、格差や貧困の拡大、ウォール街を中心とする既得権や既存政治への強い不満を持つ大衆の感性に響いたのであろう。しかし、移民やイスラム教徒に対する無用の憎悪をあおるなど、極端な排外主義と宗教保守主義の強調、メディアを駆使し、大衆の鬱屈する心情に扇動的に訴えかけるやり方は、危険なポピュリズムといわざるを得ない。

2.アメリカの経済力が弱まる中、自国の発展のためにこそ予算を使うべきだというトランプ氏は、在日米軍撤退や日本核武装容認などを打ち出し、日米安全保障条約についても「不公平だ」と指摘し再交渉に言及している。日本から援助を得る駆け引きであり、日本が駐留経費の負担を大幅に増額させられる可能性や、アメリカの戦争に日本がより巻き込まれ肩代わりさせられる危険性も払拭できない。トランプ氏が何を要求するにしても、思いやり予算は廃止すべきであり、駐留経費の負担増や核武装は断じて応じられない。それで米軍が撤退し、「駐留なき安保」に進んでいくのであれば、非軍事面での日米協力を強化する立場からはむしろ望ましいともいえる。

3.2期8年のオバマ民主党政権の下、日本政府は、「日米同盟」強化として、日米防衛協力指針の改正、武器輸出三原則の見直し、「戦争法」制定など、日米の軍事一体化を進めてきた。日本にとって、対米関係が重要であることは疑いないが、アメリカの世界的な軍事戦略に日本が従属するような構造からは脱却しなければならない。社民党は、トランプ氏の大統領就任を日本の安全保障と外交の歪みを正す機会と捉え、平和憲法を外交政策の柱に据え、毅然とした姿勢のもとで主体的で対等な日米関係を構築していくよう求めていく。

4.米軍人・軍属による女性の人権を踏みにじる卑劣な事件が繰り返されるなど、沖縄県民、基地周辺住民は日米同盟の犠牲になってきた。「自由と民主主義」を標榜するアメリカ大統領として、沖縄県民の民意を尊重し、辺野古新基地建設や高江ヘリパッド建設の即時中止、普天間飛行場の即時閉鎖・全面返還をはじめとする沖縄県民の基地負担の軽減や日米地位協定の全面改正に取り組むよう求める。

5.経済政策的には保護貿易主義を掲げているトランプ氏は、自由貿易は外国製品の流入を招き労働者から職場を奪うという考え方から、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定について、「アメリカを犠牲にして日本が大きな利益を得る」「ひどい協定」であるなどとして反対している。トランプ氏とは考えを異にするが、我が国も多国籍企業の利益を優先するTPP協定承認を急ぐべきではないと考える。

6.レーガノミクス以来の新自由主義によって、アメリカは、1%の富裕層が富を独占する一方、99%の国民に格差と貧困が広がり、希望が見いだせない、「格差先進国」、「貧困大国」となった。とりわけ学費が高騰し、卒業と同時に約2万7千ドルの学生ローンの借金を背負い、卒業後の仕事も非正規雇用しかない若者層に、絶望と閉塞感が募っている。17か月に及ぶ今回の大統領選挙で注目された「サンダース旋風」や「トランプ現象」は、格差と貧困の拡大、深刻な不平等による社会と経済の歪みに対し、強い不満が広がっていることの表れである。アメリカ社会の抱える深刻な矛盾をどう解決していくのか。社民党は、SNSなどのソーシャルメディアを活用し、雇用創出、最低賃金の引き上げ、公立大学の授業料無償化、累進課税による真の税制改革、人権としての皆保険、男女平等など、ラディカルな政策を訴え、格差・貧困を拡大している不公正な社会のシステムそのものの是正を求める、1980~2000年頃に生まれた若者(「ミレニアル世代」)を中心とする新しいリベラルの動きに注目していく。

以上