声明・談話

2016年7月29日

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用損失の公表について(談話)

社会民主党幹事長 又市 征治

1.国民年金と厚生年金の積立金約140兆円を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、本日、2015年度の運用損失が約5兆3098億円にのぼったことを公表した。5年ぶりの赤字であり、損失額もリーマン・ショックを受けた2008年度以降では最大となった。昨夏や年明けからの株価下落が響いたとはいえ、国民の老後を支える年金資産が毀損したことは極めて遺憾である。GPIFと安倍政権はしっかり説明責任を果たすべきである。

2.6月30日の運用委員会で、非公表ながら財務諸表や運用実績を厚生労働省に報告しておきながら、例年7月上旬とされていた運用実績の公開日を約半月遅い本日まで持ち越したのは、参議院選挙に影響を与えないための「損失隠し」にほかならない。安倍政権の党利党略の姿勢を指弾するとともに、適時適切な情報開示を強く求める。

3.GPIFと政府は、市場運用を始めた2001年度からの累積では、約45兆円の運用益を確保していることを強調するとともに、年金積立金は長期的な視点で運用しており、短期的な変動にとらわれるべきではないとしている。しかし、GPIFは2014年10月、厚生労働大臣の「中期目標」の変更を受け、基本ポートフォリオを含む「中期計画」を変更した。保険料の拠出者である労使や国民に対する十分な説明を欠いたままの変更であるだけでなく、経済成長と日経平均株価を底上げしアベノミクスによる「景気回復」を演出するという政治的な思惑が背景にある。安倍首相はGPIFの運用損による年金支給額の減額の可能性に言及しているが、株式重視の現在の資産構成に変更しなければ、損失は避けられたはずである。運用損失の拡大は安倍政権の責任であり、ギャンブルのつけを国民に回すことは断じて認められない。

4.比較的安全といわれている国債を60%から35%に引き下げ、国内外の株式を24%から50%に大幅引き上げるなど、リスク性資産への投資割合が拡大された結果、2015年7~9月期には、四半期として過去最大の7兆8899億円の赤字を計上した。今回は通期として約5.3兆円の損失となったが、その後も続く株安やイギリスのEU離脱ショックなども考えれば、今後も損失が大きく膨らむことはまぬがれない。一方、株価が上昇したとしても、「池の中のクジラ」と言われるGPIFが株式を売り利益を確定しようとすると、大口の売りが出たとして株価自体に悪影響を与えかねない。諸外国では基礎年金部分の積立まで株式に投じる例はほとんどなく、国民の年金積立金をリスクに晒す株式運用比率の拡大ではなく、長期的な観点から安全かつ確実な運用を堅持すべきである。

5.GPIFに、被保険者である一般市民の声・意思を反映できるよう、民主的な統制の仕組みを構築すべきである。なお、積立金の原資は被保険者が保険料として拠出したものであり、国民の信頼の確保のためには説明責任を果たすことが重要であることなどから、社民党は保有銘柄に関する情報を全面的かつ速やかに開示することを求めてきた。本日、GPIFは保有銘柄情報についてもあわせて公表した点は評価する。

以上