声明・談話

2016年5月13日

「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案」の参院通過について(談話)

社会民主党
幹事長 又市征治

1.本日の参院本会議で、社民党などが提出していた「人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案」が否決される一方、与党提出の「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案」が賛成多数で可決され、衆院に送られた。社民党はヘイトスピーチへの真に実効性のある法規制を強く求めてきた立場から、修正後の与党案について成立すれば初の理念法制定となる意義は認めつつも、なお看過し難い問題点を持つため反対の意思表示を行った。

2.社民党などの野党案が全23条で、不当な差別的言動に加えて「差別的取り扱い」も禁止するなど、人種差別的な行為を幅広く禁じているのに対し、与党案はわずか全7条で差別的言動のみを禁じているにすぎず、真に有効なヘイトスピーチ規制につながるのか懸念を抱かざるを得ない。法の目的も野党案の「差別の禁止、撤廃」に比べて与党案は「不当な差別的言動の解消に向けた取り組みを推進」と弱いうえ、条文に「違法」「禁止」の文言もなく実効性に疑問符がつく。さらにヘイトスピーチの温床となっているインターネット上での対策についても、野党案は言及しているが与党案では条文上触れていない点も問題である。

3.与党案最大の問題点は、適用範囲を「本邦外出身者又はその子孫」で「適法に居住するもの」に限定している点である。アイヌ民族や沖縄出身者、被差別部落出身者、難民申請者、非正規滞在者らへの差別に免罪符を与えかねず容認できない。相手の人格を否定し尊厳を傷つけるヘイトスピーチへの法規制に、被害者の出身地が国内か国外か、滞在が適法か否かの区別を持ち込む余地は全くないはずである。自民党議員が言及した米軍基地への反対運動などに対する法適用の懸念も払拭されたとは言い難い。与野党の修正協議で附帯決議に「定義以外のいかなる差別的言動であっても許されるとの理解は誤り」「日本国憲法及びあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の精神に鑑み適切に対処」との文言が盛り込まれた点は評価できるが、新たな差別を決して許さないためにも条文上に明確に規定することが筋である。

4.社民党は今後の衆院審議など、あらゆる機会を捉えて「適法居住要件」の削除など、必要な修正を行うよう強く求めていく。

以上