声明・談話

2015年12月16日

消費税増税・大企業減税の与党税制大綱決定について(談話)

社民党幹事長代行 吉川 元

1.本日、自民・公明両党は、いわゆる「軽減税率」の適用範囲も含め、2016年度の与党税制改正大綱を正式に決定した。2014年4月からの消費税率8%への増税の景気への影響が残る中、消費税の税率を8%から10%へ増税する一方で、法人実効税率のさらなる引下げを前倒しで決定するところに、くらし破壊・大企業優遇税制の本質がうかがえる。

2.「軽減税率」が導入されるといっても、低所得者の痛税感の緩和にはほど遠い「選挙対策」にほかならない。食料品等の税が下がるわけでなく、8%への「据え置き」決定にすぎない。対象品目の線引きも複雑で、事業者の負担も大きく、混乱が予想される。しかも低所得者の逆進性対策のためとはいっても、実際は高所得者の恩恵が大きい。財源として低所得者の負担軽減に資する医療と介護の総合合算制度を取りやめるのは、筋が通らないし、その他の財源の確保が先送りされているのも無責任である。逆進性対策としては、所得税の「累進性」強化、低所得者層への給付の拡充など、「所得再分配」機能の強化をはかるべきである。

3.消費税増税によって、医療機関の経営悪化が進みかねない。この背景には、社会政策的な観点で「医療の給付等」については消費税が非課税とされ、医療機関が消費税を負担する仕組みになっていることがある。消費税のとれない輸出企業には「ゼロ税率」(=還付金)が適用されているのであるから、医療機関に対してこそ「ゼロ税率」を適用すべきである。

4.その他の改正内容についても問題が多い。暫定措置とされていた地方法人特別税・同譲与税の廃止は当然だが、法人住民税の一部を地方交付税財源とする地方法人税は拡充される。しかし、自主財源であり基幹税である住民税の召し上げは、地方分権に逆行し、地方自治の根幹に関わる。財政力格差是正と地方財源の充実のためには、地方全体への税源移譲を進めるのが筋である。

5.「地方創生」を応援するという企業版「ふるさと納税」は、自治体と企業の癒着や関係の歪み、企業に評価される自治体づくりへの傾斜が懸念される。寄附というより、各企業が任意の自治体に納税できるという意味合いが強くなることは、受益に応じた負担という地方税の原則に反すると言わざるを得ない。

6.自動車取得税の廃止の代替として、「新車購入時燃費課税」が導入されるが、税収は約210億円減ることになり、自治体の財源補填が懸念される。また、非課税の対象が5割に広がることで、ハイブリッド車やプラグイン・ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車などの開発意欲を減退させることに繋がるとの指摘もある。また、TPPに対する農家競争力の強化に向け、耕作放棄地の固定資産税を1.8倍に引上げることで、大規模農業を目指す農家に集約する方向性が打ち出されている。しかし、条件不利地域や中山間地の実情を無視した、きわめて乱暴なやり方であり、政府が意図するような効果が生じるのかどうかも不透明である。農家の追い出しにつながりかねないことを懸念する。

7.「稼ぐ企業」の応援とはいっても、一層の法人税減税は、過去最高の354兆円に膨らんだ内部留保をさらに増大させることにつながりかねない。しかも、外形標準課税を増やして財源を確保するとなると、黒字企業の法人税を引下げて、赤字企業(将来的には中小企業)の増税でまかなうことになり、税の再分配に逆行することになる。国際的な法人税率引下げ競争に対し、日本が先頭に立って歯止めをかけていくべきである。

8.非課税贈与の拡充も、世代を越えて教育の格差が固定化される懸念がある。しかし、格差是正、所得再分配機能の強化が経済成長につながることは、この間のOECDやIMFのレポートの指摘で明らかである。社民党は、家計に厳しく大企業を優遇する格差を拡大するアベノミクス税制に対し、社民党は引き続き、「消費税依存税制」からの脱却を目指し、公平・公正な税制の抜本改革を主張していく。

以上