声明・談話

2015年11月25日

衆議院の「投票価値の不平等」に関する最高裁判決について(談話)

社民党幹事長代行
吉川 元

1.最高裁は本日、「投票価値の不平等」(一票の較差)が最大2.13倍だった昨年12月の衆議院選挙について、「違憲状態」との判決を下した。この間、実施された三度の衆院選がいずれも「違憲状態」とされたことになる。国会に発せられた「最終警告」であるとして、立法府は真摯に厳しく受け止め、早急に違憲状態を解消するため、立法府の責務として、選挙制度の「抜本改革」に向けた議論を開始しなければならない。次期衆院選を「違憲状態」のまま実施することは、断じて認められないし、「違憲状態」にある立法府が「憲法改悪」に突き進むことも断じて許されない。

2.また、今回の訴訟は、全国295の小選挙区において原告が立った初の訴訟でもある。これは、国民の主権者意識の表れであったと言える。先の「戦争法」の審議においても明らかになったが、多くの国民が、「国民の意思」と「国会の意思」が乖離しているとの念を抱いていることを重く受け止めるべきである。

3.昨年12月の衆院選は、「0増5減」の区割り改定後、初めて実施された。社民党は「0増5減」による改正公選法は、一時しのぎの弥縫策にすぎず、2009年衆院選をめぐる最高裁判決で示された「一人別枠方式の廃止」が実質的に温存されているなどとして、同法に反対した。実際、「0増5減」の緊急是正法は、得票率と議席率の乖離、死票の発生など、現行小選挙区制の弊害は何ら是正されていないものであり、昨年の衆院選においても「投票価値の不平等」は温存されたままであった。

4.今回の最高裁判決を受け、較差が2倍未満に収まる是正を直ちに実施することが改めて急務となっている。しかし、衆議院の選挙制度については、2013年6月25日に、選挙制度の「抜本的な見直しについて」「結論を得る」と全党で確認したにもかかわらず、社民党などが反対する中、いわゆる第三者機関の「衆院選挙制度に関する調査会」に議論を「丸投げ」した状況となっている。まさに、国会の裁量を自ら放棄した状況であると言っても過言ではない。立法府に身を置くものとして、選挙制度の「抜本改革」に向けた議論を後退させるわけにはいかない。

5.安倍政権の下、「憲法改悪」の動きが様々画策されているが、「違憲状態」を放置することは、まさに憲法理念に反する「立憲主義」の否定に他ならない。しかも自民党は、「憲法改正草案」において、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と規定している憲法前文を全面的に改悪するとともに、憲法第47条に「各選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならない」旨の規定を追加しようとしている。区割りの合憲性を担保するために憲法を変えてしまえといわんばかりの本末転倒の論議であり、「国民の意思」と「国会の意思」の乖離を温存する現行小選挙区制、ならびに「一票の較差」を容認する狙いがあると指弾せざるを得ない。

6.「議員定数を減らすということは、(一票の)格差是正にとってはむしろマイナスに機能する」(佐々木毅・衆院選挙制度に関する調査会座長)と言われるように、諸外国に比し議員定数が少ない日本において、「定数削減」と「一票の較差」是正の同時達成が困難であることは言うまでもない。特に、小選挙区制の下での一票の較差の是正には限界がある。社民党は引き続き、国民主権を規定する憲法理念に従い、現行小選挙区制の有する問題を「抜本的に見直し」、多様な民意が議席数に反映される、比例代表を中心とした「正当な選挙制度」への改革を主張していく。

以上