声明・談話

2015年6月30日

いわゆる「骨太の方針」と「成長戦略」の閣議決定にあたって(談話)

社民党幹事長 又市征治

1.政府は本日の閣議で、いわゆる「骨太の方針2015」と、安倍政権として三度目となる「成長戦略」を決定した。「骨太の方針」においては、2020年度の財政健全化目標を堅持するとし、「経済再生ケース」(中長期的に、名目3%以上、実質2%以上の成長率)を前提にしている。しかしながら、2014年度の実質GDP成長率がマイナス0.9%、実質賃金は25か月連続してマイナスになるなど、安倍政権が決定した消費税増税も含めた経済政策(いわゆるアベノミクス)は、もはや破綻しているのであって、「経済再生なくして財政健全化なし」と言うが、アベノミクスでは「経済再生ケース」の達成は困難である。トリクルダウン理論にもとづく経済政策から国民生活優先のボトムアップ型へと「安倍内閣の基本哲学」を転換することこそ、財政健全化に向けた必須課題である。

2.財政赤字の主因は、税収不足である。この間の所得税における累進構造のフラット化や大企業向け法人税減税など、大企業・高所得者優遇税制こそが、税収不足を招いてきた。一方で、その減収分の穴埋めとして消費税増税に依存している。しかし今回の「骨太の方針」においても、「成長志向の法人税改革をできるだけ早期に完了」とする一方、消費税率10%への増税を2017年4月から「実施する」としている。「経済再生」をさらに危うくするものであり、消費税増税は断固撤回すべきである。

3.この間、社会保障の「自然増」は毎年1兆円規模になるとの口実で、消費税増税が叫ばれてきた。しかし、消費税増税を実施したにもかかわらず、「自然増」の伸びを毎年5000億円程度カットすることが想定されている。小泉政権下における「骨太の方針2006」において、「自然増」を毎年2200億円カットしたが、それを上回る勢いで「歳出改革の重点分野」として社会保障を狙い撃ちにすることは断じて容認できない。マイナンバーの利活用については、「漏れた年金」問題に象徴されるように膨大なセキュリティー対策費が生じ、費用対効果が不透明であり凍結すべきである。

4.三度目の改定となる「成長戦略」は、「世界最高の知財立国」「世界最高水準のIT社会の実現」「世界に冠たる高品質な農林水産物・食品を生み出す農山漁村社会」と「世界最高」という言葉ばかりが踊り、アベノミクスの「第3の矢」とはいいながら、もはや各省庁が予算に盛り込みたい施策の羅列であり、戦略「改定」とは言い難い。女性の活躍や中高年の転職支援をうたう一方、戦略には解雇の「解決金制度」の検討も盛り込まれ、延長国会では「生涯派遣」を生み出すとの批判が強い労働者派遣法改正案の成立を強行しようとしている。経済力に応じた医療費・介護利用料の負担増、耕作放棄地への課税強化、技術開発力を底上げする大学改革など、問題の多い政策も盛り込まれている。大企業に目を向けた企業論理を優先する労働法制改悪や女性活用策は、賃金上昇、消費拡大、企業収益改善という好循環ではなく、格差拡大、消費低迷を招きかねないし、少子化対策にも逆行する。

5.株価が上がっていれば景気はよくなっていると言わんばかりに、「株価連動政権」とも言われる安倍政権においては、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、共済年金、かんぽ生命保険、ゆうちょ銀行、日本銀行の「5頭のクジラ」とも言われる公的資金を通じた事実上の株価維持策が講じられている。しかしながら、ギリシャ情勢など世界経済の不確実性が増す中、公的資金を通じた株価維持策が国民負担を生じさせかねないリスクは増大している。さらに、戦後最長の会期延長によって、「岩盤規制」にドリルで穴をあけると称し、労働法制や農協法の改悪法案を無理やり成立させようとしている。外国人株主が恩恵を受け、実体経済とかい離した「実感なき景気回復」の中、国民生活をさらなる疲弊においこむ「規制緩和」関連法案、そしてまさに日本を戦争できる国に大転換させる戦争法案の廃案に向け、社民党は全力を挙げる決意である。

以上