声明・談話

2014年9月10日

九州電力川内原発の再稼働に向けた「審査書」の正式決定について(談話)

社会民主党幹事長
又市 征治

1.原子力規制委員会は、本日、九州電力川内原発1号炉及び2号炉の再稼働に向け、基準に適合していると結論付けた「審査書」を正式決定した。東京電力福島第一原発事故の発生から3年半が経過したが、いまだに事故は収束せず、13万人が避難生活を余儀なくされている。事故原因の究明も、放射能汚染水対策も、廃炉への道も見えず、コントロールもブロックもできていない中で、再稼働容認は断じて認められない。

2.原子力規制委員会は、6月24日に九州電力から再補正申請書が提出された後、島崎委員、更田委員のそれぞれの検討チームの会合を一度も開かず、7月16日にいきなり審査書案を決定し、その日のうちに意見募集(パブリックコメント)を開始した。しかも、原子力規制委員会は、本日の会議で、1万7千通もの国民の声を一顧だにせず、審査書を決定した。再稼働ありきの条件整備にひた走るのではなく、原子力規制委員会は、「国民の安全を最優先に、原子力の安全管理を立て直し、真の安全文化を確立」する、「すべからく高い倫理観を持ち、常に世界最高水準の安全を目指さなければならない」という組織理念に立ち返るべきである。

3.川内原発の耐震安全性の検討において、基準地震動を620ガルとしたことは過小評価であり、耐震安全性は全く保証されていない。また、川内原発に対する火山の噴火による大規模損壊の検討も不十分である。桜島の1万年余り前の噴火と同規模の大噴火の想定にとどまり、カルデラ巨大噴火の発生や火砕流の被害のリスクは十分考慮されていない。仮に火砕流が原発を襲えば建屋は破壊され、放射性物質が広範囲に放出される恐れがある。川内原発の付近には2つの火山帯があり、噴火し、火砕流が流れ出さないとの保証はない。その時に住民はどのように、どこに避難するのかも明らかではない。カルデラ噴火の前兆をとらえるのは難しいとの意見もある。仮に前兆をとらえられたとしても、燃料の運び出しのための冷却に数年はかかるし、燃料をどこへどうやって運ぶのかも未定のままである。多くの火山学者が「立地不適」と指摘していることに耳を傾けるべきである。

4.30キロ圏のすべての市と町で避難計画は一応策定済みだが、原発周辺の住民全員の実効性ある避難計画とはいえない。入院患者や要介護者、障がい者をはじめとする災害弱者の対応も全く不十分である。事故発生時に周辺住民全員の確実な早期避難が可能であることの保証なしに原発の再稼働を認めることは、住民の生命と健康を原発に劣後させる考え方であり、「人と環境を守る」という規制委員会の使命に反する。また、原発事故の影響を受ける被害自治体全ての同意が得られていない。少なくとも30キロ圏の被害自治体の同意を得るべきである。

5.原子力規制委員会による川内原発の審査は事実上終了したが、審査に用いられた新規制基準自体、東京電力福島第一原発の事故原因の究明もないままの不十分な基準にすぎず、原子力利用における安全の確保に欠けるものである。しかも川内原発に大規模損壊が起きた場合に、周辺住民が安全に避難できることを審査許可基準として定めるものでもない。安倍政権は、原子力規制委員会の審査が終わった原発を再稼働させる方針だが、原子力規制委員会の田中委員長が「基準を満たしているだけで、安全を保障するとは言っていない」と繰り返しているように、新規制基準に形式的に適合したとしても、安全性は全く担保されておらず、原発再稼働の理由とすることはできない。

6.川内原発は、地震対策も火山噴火対策も複合災害対策もプラント評価も避難対策も不十分で、薩摩川内市民の85%が再稼働に反対しているように住民理解も得られないままであり、再稼働などあり得ない。社民党は、川内原発の再稼働阻止のため、引き続き全力で取り組む。

以上