声明・談話

2014年4月23日

護衛艦「たちかぜ」いじめ事件の控訴審判決について(談話)

社会民主党幹事長 又市征治

1.本日、海上自衛隊護衛艦「たちかぜ」の男性乗組員が先輩隊員のいじめが原因で自殺したことについて、遺族が先輩の元自衛官と国に計約1億5千万円の損害賠償を求めた「たちかぜ」裁判の控訴審判決があり、東京高等裁判所は、原告完全勝訴の判決を下した。遺族および「たちかぜ」裁判を支える会はじめとする支援者の方の努力のたまものであり、弁護団に加わったり、国会質疑や質問主意書等で追及するなどの取り組みを進めてきた社民党としても、本日の判決を喜びあいたい。国・自衛隊は、今回の判決を真摯に受け止め猛省するとともに、上告を断念し、ただちに遺族に謝罪するよう、強く求める。

2.控訴審判決は、上官らの自殺予見可能性を認め、自殺との相当因果関係があるとして、約7330万円の支払いを命じた。2011年1月の一審・横浜地裁判決は、いじめと自殺の因果関係は認めたものの、上官らが自殺を予見できたとは認められないとしていたが、判決では自殺予見可能性と相当因果関係を認めるとともに、一歩踏み込んで、幹部自衛官らに自殺に対する積極的な対応を求めていることも、大きな前進である。

3.今回の判決に至った背景には、国が当初廃棄していたとされていた、いじめの有無を尋ねたアンケートの原本等の文書開示について、控訴審で現役の3等海佐が「隠されている」と内部告発し、その後国が開示した経緯がある。艦内生活実態アンケートおよび聞き取り文書の隠匿について、控訴審判決は、国の隠蔽姿勢を厳しく指弾するとともに、国に対し違法性を認め20万円の賠償を命じた。3佐の異議申し立てを受けた内閣府の情報公開・個人情報保護審査会も、昨年10月、「組織全体として不都合な真実を隠蔽しようとする傾向があった」と批判する異例の答弁書をまとめているが、今回の判決でも意図的な隠匿だったと認定されており、自衛隊の体質自体が司法によって断罪されたことを国・自衛隊は重く受け止めなければならない。都合の悪い情報は隠し、告発者は罰するという、防衛省・自衛隊の秘密体質、隠蔽体質そのものを改めるべきである。そして、勇気をふるって内部告発した隊員への見せしめ的懲戒処分は断じて行うべきではない。こうしたことが合法的に横行しないよう、改めて特定秘密保護法の問題点を訴え、施行を許さない闘いを粘り強く続けていきたい。

4.自衛隊において、私的制裁に名を借りた、いじめや暴行・恐喝等の事件が日常茶飯事、しかも常習的に繰り返されている。今回の事件も、自衛隊の構造的な犯罪であり、悪質な後輩いじめ事件であることは明らかであり、繰り返される事件について改めて重く受け止めるとともに、反省と厳正な対処が強く望まれる。国・自衛隊は、今回の判決を正面から受け止め、自殺に追いやられる不幸な自体が二度と繰り返してはならない決意の上で、私的制裁の防止をはじめ再発防止に全力を挙げるべきである。

5.自衛隊という軍事組織にあっても、自衛官の尊厳と人権は守られなければならない。そのためにも、「情報公開」と「告発者保護」が不可欠である。社民党は、今後も遺族に対する支援を続けるとするとともに、自衛隊内部での人権侵害を予防すべく、「自衛隊オンブズマン制度」の創設をはじめ、自衛官の基本的人権を保障する制度改正を求めていく。

以上