声明・談話

2014年1月27日

 籾井勝人氏はNHK会長として不適格である(談話)

 社会民主党幹事長
又市 征治

1.1月25日、NHKの新会長に就任した籾井勝人氏が就任会見で、従軍慰安婦問題について、「今のモラルでは悪いことだが、当時の戦争地域には大体つきものだったと思う」、「日本だけがやっていたようなことを言われるのはおかしい。ヨーロッパはどこだってあったのではないか」、「なぜオランダにまだ飾り窓があるんですか」、「日本だけが強制連行したみたいなことを言っているから話がややこしい。お金をよこせ、補償しろと言っている。しかしすべて日韓条約で解決している。なぜ蒸し返されるんですか。おかしいでしょう」などと「問題発言」を連発した。

2.「会長の職はさておき」とした上で、問題を指摘されると「全部取り消します」と話したが、公式の就任会見の場で、NHK会長が、外交の機微や歴史認識の微妙な点に触れる問題について、右派勢力同様の政治的見解を述べ、NHKの公共性、政治的公平性、また設立趣旨に反する発言がなされたことは、会長としての資質を疑わせるものであり、まことに遺憾である。およそ報道機関、公共放送の経営トップとして必要な最低限の常識も兼ね備えているのか疑問である。また、報道機関の長が韓国を批判することも異例であるが、籾井氏はオランダなどにある売春街である「飾り窓」を引き合いに出したが、大戦中、旧日本軍占領中のインドネシアで日本軍がオランダ人女性35人を民間人抑留所から慰安所に強制連行し強制売春させた事実を顧みないものであり、オランダに対する侮辱でもある。

3.NHKの会長人事は、先の臨時国会で同意を得た新任の経営委員4人が安倍晋三首相に近い人選だったことから、政権との距離が注目された。しかし、籾井氏は、特定秘密保護法の報道が少なく、姿勢が政府寄りとの指摘があることについて、「(法案は国会で)通ったこと。あまりカッカする必要はない」と、問題点の追及に消極的な姿勢を示した。また、国際放送の充実についても、「尖閣、竹島の問題を諸外国にどう理解してもらうか。早急に手を付けないといけない」と意気込んだ。また「明確に日本の立場を主張するのは当然。政府が右ということを左というわけにはいかない」とまで言いきっている。籾井氏が強調するように、「NHKのボルト、ナットを締め直す」として、安倍政権が満足するような「偏向是正」を徹底し、あたかも「国営放送」を目指そうというのであれば、ニュース報道やドキュメンタリーにおいて、政治的な問題、特に原発、特定秘密保護法、安全保障、基地問題など、安倍政権が重視するテーマを批判的に扱うことができなくなり、公共放送たるNHKへの信頼を失墜させるとともに、日本のジャーナリズムの危機ともなりかねない。

4.放送法の立法趣旨やNHKの設立趣旨から、政治的公平性や中立が大原則であることは言うまでもない。NHK会長は、閣僚ではないが、国会での答弁をたびたび求められ、公共放送の長であり、公正に伝える義務を負う報道機関のトップであり、「見識」を絶えず問われるポストである。NHK会長が就任早々、世界中に自らの見識の無さを発信してしまったことは、NHKの存在に対する理解不足を十分疑わせるものであり、会長としてきわめて不適格であると言わざるを得ない。

5.籾井発言の重大性は、籾井氏を会長として選んだ側の経営委員会の責任も問われる問題である。社民党として、NHK予算案審議の場などで籾井会長の認識を徹底的に追及するのはもちろんだが、まずはNHK執行部や経営委員会が籾井発言の重大性を自律的に解決できるのか注視していく。

以上