声明・談話

2011年2月25日

内閣総理大臣
障がい者制度改革推進本部長 菅直人 様

障害者基本法の改正に関する要請

障害者基本法の改正に関する要請

社会民主党 党首 福島みずほ

 政府は今通常国会において障害者基本法の改正を予定しています。今回の改正は、「障がい者制度改革推進本部」のもとに設置された「障がい者制度改革推進会議」における議論を反映し、日本の障がい者施策を大きく前進させるものであると期待をしております。

2008年5月、障がい者を保護の客体から権利の主体へと位置づけ直す「国連障害者権利条約」が発効しました。障がい当事者が委員の 半数を占める同推進会議の設置は極めて画期的であり、同推進会議は常に国連障害者権利条約を念頭に、条約締結に必要な国内法の整備や制度の改革推進につい て真剣な議論を積み重ねてきました。

また、社民党党首の福島みずほは、内閣府特命担当大臣当時、同推進本部、同推進会議の発足にかかわり、同推進会議の議論が政策決定に反映されることを応援してきました。

しかしながら、2月14日、第30回障がい者制度改革推進会議において公表された障害者基本法改正案は、障がい者の権利保障の観点が 極めて不充分であり、国際水準に到達するものではありません。例えば、「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保さ れ、地域社会において他の人々と共生することができること。」とする条文案のように、「可能な限り」を挿入して、権利性を留保する記述が繰り返し出てきま す。これでは政府が遵守すべき義務が不明確です。

また、2010年1月7日に、国(厚生労働省)と障害者自立支援法違憲訴訟団が調印した基本合意文書からも後退しており、障害者自立 支援法にかわる新たな「障がい者総合福祉法」(仮称)への影響も懸念されます。今回の障害者基本法改正は、障がい者に関する全ての法制度の基本となるもの であり、その進展にかかわる極めて重要な改正です。よって、社民党は以下の点を要請致します。

1,2010年6月29日の閣議決定(「障がい者制度改革推進会議」の第一次意見2010.6.7を最大限尊重する内容)、「障がい者 制度改革推進会議」の第2次意見2010.12.17、及び国連障害者権利条約を踏まえて、2月14日に提出された障害者基本法改正案を早急に修正するこ と。
(なお、重要項目については別紙添付)

2,「障がい者制度改革推進会議」の合意を得た上で、今国会に障害者基本法改正案を提出し、その成立を図ること。

以上

別紙 障害者基本法改正に盛り込むべき重要項目

1,前文を設け、障がい者を保護の客体として位置づけるのではなく、権利の主体であることを明確に位置づけること。

2,障がい者が必要な支援を受け、自己決定に基づく社会参加の権利と自ら選択する地域社会で生活する権利を有することを確認すること。

3,障がい者は「どこで誰と生活するかについて選択の機会が確保され、地域社会において生活することが妨げられない権利を有すること」を確認する旨を明記すること。

4,「障がい者が必要な手話等の言語を使用し、又は他のコミュニケーション手段を利用して、情報を取得し利用する権利を有すること」を確認する旨の規定を明記すること。

5,「合理的配慮を提供しないことが差別にあたる」ことを明記すること。

6,精神障がい者の医療は、障がい者本人の判断と選択による医療が基本であることを確認すること。精神障がい者の不必要な長期入院の解消、地域生活移行への促進に必要な措置が必要であることを規定すること。

7,インクルーシブ教育制度を構築する観点から「障がいのある子どもとない子どもが共に学ぶことを原則とする」旨を規定すること。

8,労働施策と福祉施策を一体的に展開ができるよう方向を示し、障がい者の労働の権利が確保されるよう規定すること。

9,障がいのある女性が複合的な困難を負っていることを確認するとともに、総則および基本的施策に必要な施策を明確に位置づけること。

10,計画策定機関と分離して、監視機関(モニタリングシステム)を設置すること。救済機関については、障害者差別禁止法(仮称)の中に規定すること。

以上