声明・談話

2007年12月14日

与党税制改正大綱について(談話)

社会民主党幹事長
又市征治

 

 

  1. 12月13日、与党は、2008年度の与党税制改正大綱をまとめた。目の前の総選挙のためか、これまで07年度をめどとしてき た、「税体系の抜本改革」を先送りするものとなり、税制の根本論議から逃げたかのような姑息なものとなった。税は政治の根本であり、選挙を控えているから こそ、総選挙後には企業の大減税と消費税の大増税が必至であるという与党の考える税体系の姿をきちんと示し、国民の信を仰ぐべきである。
  2. 大きな焦点の消費税については「年金、医療、介護等の社会保障給付や少子化対策などの費用を賄う主要な財源」と位置づけ、社会保 障の目的税化を明記し、将来的な消費税率の引き上げもにおわせた。社会保障を名目にしているが、高額所得者や大企業の減税はそのままで消費税を上げるのは 不公平の極みである。社会保障目的といっても「貧者同士の助け合い」にしかならない。社会保障の明確なビジョンも提示されてない。消費税の税率アップを 云々する前に、所得税・法人税の金持ち減税を見直し、きちんとした逆進性緩和策を講じるところから出発すべきである。そもそも税率アップを口にする資格と 国民の信頼が今の自民党政権にあるとは思えない。
  3. 「地域間の財政力格差の縮小」として、都道府県の法人事業税の一部を自治体間で配分する「地方法人特別税」の創設が決まった。新 税は地方税ではなく国税となり、地方税である法人事業税の召し上げにほかならない。譲与税として配分するといっても、地方が自主財源を得て自立する方向に ほど遠い。三位一体の改革で移譲された3兆円の9割近くの税源が国に戻るのは、本来の地方分権の流れ、税源移譲の流れに逆行する。しかもつなぎの赤字地方 債を増発するのは、財政再建にも逆行する。小手先の対策で格差の抜本解消にはつながらない。地方の税収格差は本来、国が東京への一極集中を放置した結果で あり、国が責任を持つべきである。自治体同士の調整ではなく、国税を用いるべきであって、偏在度が少なく安定した財源を考えるなら、地方消費税を拡充して いくべきである。あわせて、三位一体の改革で、財政格差是正機能を持っている地方交付税の5兆円を超える大幅削減が行われたことが、地方格差の拡大や地方 の疲弊をもたらしている。地方の共有財源である地方交付税の復元・増額を強く求める。
  4. 居住地以外の自治体に寄附した場合、住民税の1割を限度に控除する、いわゆる「ふるさと納税」が盛り込まれた。住民税における無 原則な寄附税制の拡大は、本来の納税地において行政サービスの「ただ乗り」を許すことになり、負担と受益の関係という税の根本を損なう懸念がある。また、 「ふるさと納税」は福祉サービスの担い手である自治体の財政が、富裕層の意のままに左右されることに道を開くこともなりかねず、所得再配分の考え方や財政 民主主義の根本に立ち返った論議が必要である。一見きこえがいい「ふるさと納税」で、自治体の財政格差問題が、自治体の「自助努力」・「自己責任」の問題 に転嫁されかねなくなることを危惧する。地域格差の是正は、「ふるさと納税」のような思いつき政策で解決できるものではない。
  5. 道路特定財源について、社民党は従来から、道路財源を含む道路特別会計と航空機燃料税を含む空港整備特会、港湾整備特会等を一本 化し、交通関係の社会資本整備や公共交通維持を総合的に推進するための、「総合交通会計」制度を創設するなどの抜本改革を提案してきた。今回の政府・与党 案は、59兆円の道路整備を前提に暫定税率の10年間延長を図るものであり、政官業の既得権益と化している特定財源問題への切り込みは不十分である。まず 新たな道路計画の規模・内容の精査と、複雑とも言える揮発油税、自動車重量税、自動車税、自動車取得税、軽油引取税、石油ガス税、地方道路税ほかの整理 や、タックスオンタックス(自動車諸税に消費税が上乗せされる)の見直しがなされるべきである。一般財源化される税収の使途に環境目的を盛り込むという が、規模・内容とも不十分であるし、道路建設推進自体が環境にやさしくない面も強い。暫定税率分については、原油高騰の影響に鑑み、廃止も含め新たな制度 設計に向けての国民的論議を深めるべきである。また自動車の社会的費用を十分に考慮し、環境への負荷等を軽減するための措置を講ずるべきである。
  6. 証券税制については、上限額を設けつつ、譲渡益2年、配当1年9か月の優遇の延長が決まったが、投資信託や上場している株式は、配当にも売却益にも、一律20%の税金がかかるのが本来の姿である。高額所得者や資産家優遇であり、きっぱりと本則に戻すべきである。
  7. 各種の租税特別措置や非課税等特別措置に対する切り込みも不十分である。政策効果の乏しいもの、企業優遇に過ぎないものは、大胆に整理合理化すべきである。

以上