声明・談話

2007年7月18日

内閣総理大臣
安倍晋三 様

新潟県中越沖地震対策についての申し入れ

社会民主党党首
福島みずほ

 7月16日、新潟県中越沖を震源として最大震度6強の激しい揺れが新潟県・長野県内を襲いました。この「新潟県中越沖地震」によって、甚大な被害が生じています。

社民党としても、被災地に赴いて実情の把握に努めました。そこで被災者や関係住民の皆さん、さらに関係自治体から要望を伺い、下記のとおり必要な 対策をまとめました。政府はすでに、多くの被災者に救済の手をさしのべるべく、幾多の対策に取り組んでおられることと存じますが、下記の事項について適切 な対応をされますよう強く要請いたします。

  1. 激甚災害の早期指定について

    今回の「新潟県中越沖地震」を「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」に基づく激甚災害に早期に指定し、地方財政の負担の緩和及び被災者に対する特別の助成を図ること。
  2. 予算上の万全の措置について

    中越沖地震被害をはじめ、先般の台風4号による風水害等の深刻な被害の実態を踏まえ、災害の復旧・復興関係事業について、予算上万全の措置を講じるとともに、今後、予備費の積極的活用も検討すること。

  3. 地方財政措置の充実強化について

    災害復旧事業、災害救助活動等の実施には莫大な費用が見込まれ、被災市町村の財政が著しく圧迫されることから、以下の支援を行うこと。

    [1] 地方負担に対する財政措置について、災害関連の特別な財政需要に対応するため、特別交付税の算定において十分な措置を行い、これを早期に交付すること。

    [2] 災害復旧事業の財源となる地方債の要望額を確保し早期に許可するとともに、災害復旧事業債に対する交付税措置の充実を図ること。

    [3] 物的被害を受けた公共土木施設や学校施設の速やかな復旧に向け災害復旧事業や災害関連事業の早期採択に努力すること。

  4. 生活支援対策について

    [1] 避難生活者に対し、食料、医療、寝具、日常品などのきめ細かな支援を講じること。希望をきめ細かく聞いた上で、避難住民のため、緊急避難的に県営住宅などの空き部屋の提供を検討するとともに、仮設住宅を早急に設置すること。

    [2] 仮設住宅の建設、簡易テント、トイレの設置などに万全の体制で臨むこと。また、被災者のために、グリーンピアや近県自治体の公共施設を開放するとともに、民宿、スキー場などの宿泊施設や客船の活用を進めるため、国は的確な支援を行うこと。

    [3] 食料と水などの生活物資の確保に万全を期すとともに、毛布や乳児のミルク、おむつといった必需品についても確保すること。

    [4] 日々の暮らしに欠かせない命綱である、電気、ガス、水道、電話などのライフラインの早期復旧を支援するとともに、被災者生活支援法による被災者の迅速な生活支援を図ること。

    [5] 医療提供体制を充実するとともに、感染症予防や内科疾患の対応、避難生活によるストレスをケアする対応に万全を期すこと。

    [6] 避難所暮らしの不自由さに加え、壊れた家具や家電、部屋内部の補修といった経済的負担が追い打ちをかけるケースも生じており、生活の安定・再建に全力を尽くすこと。

    [7] 被災者生活再建支援法の柔軟な適用を図るとともに、被災者生活支援法の改正等を含め、深刻な被害を受けた個人住宅の救済策について抜本的に検討すること。

    [8] 税や各種社会保険料の減免・納税猶予、生活資金及び災害援護資金等の融資条件の緩和措置等を講じること。

    [9] 今後、雨による土砂災害や復旧の遅れなども想定されており、警戒及び二次災害防止に万全を期すこと。

  5. 産業支援について

    [1] 鉄道、道路、港湾等の交通・産業基盤の一日も早い復旧に向けて、全力で取り組むこと。

    [2] 被害にあった企業とりわけ中小企業が円滑な事業復旧を図れるよう、被災中小零細企業等に対する災害融資等の支援を迅速・的確に行うこと。また、 無利子融資の創設や既存債務の返済猶予、さらには税の減免、納税の猶予等、金融、税制面を中心に思い切った支援策を講じるよう検討すること。

    [3] 酒造業など地場産業も壊滅的打撃を受けており、復興のための特別の支援を行うこと。

    [4] 農地、山地、農業施設等の災害復旧を支援するため、農林業関係災害復旧事業予算の確保および早期採択を図ること。

    [5] 農業共済事業に係る共済金の早期支払いに努めるとともに、農林漁業金融公庫資金(災害)の融資枠の確保と貸付限度額の引き上げなどの支援を行うこと。

    [6] 労働・雇用面について労働者・事業主等からの相談にきめ細かく対応する体制を整備するとともに、被災企業における休職・解雇が生じないよう支援措置に万全を期すること。

  6. 原子力発電所対策について

    原発の耐震設計基準は、どんな大地震がきても、放射性物質を外部には一切出さないことを旨として設定されているはずだったにもかかわらず、今回の地震に よって、放射能を含む水漏れ、変圧器火災の発生、消火用の水を送る配管の損傷、通常は出ない種類の放射性ヨウ素などの大気中への放出、低レベル放射性廃棄 物を納めたドラム缶の転倒とドラム缶を納めた貯蔵庫の床からの放射性物質の検出をはじめ、50件のトラブルが起きていることが明らかになった。東電の国や 自治体、住民への報告や情報開示が遅れたことは許すことができない。

    すでに2004年、「耐震設計審査指針では直下地震の規模をマグニチュード6.5と想定している。これは過小評価につながらないか」との質問主意書(近 藤正道参議院議員)を提出、原発の耐震基準の見直しを強く求めていた。これに対して、政府は、「敷地の直下または近傍に、マグニチュード6.5を超え、敷 地に大きな影響を及ぼす可能性がある地震の震源となり得るような活断層がないことを確認している。マグニチュード6.5という直下地震の規模を見直すこと が必要となるとは考えていない」(内閣参質161第7号)と答弁していた。今回の地震の揺れの強さ(加速度)は、耐震設計の基準となる「限界地震」のレベ ルを最大で約2・5倍上回っており、原発で経験した地震の揺れの強さとしては過去最大である。原発が想定を上回る揺れに襲われたのは衝撃的であるが、まさ に今回の地震によって、政府の想定の甘さと危機意識の欠如が露呈した。そこで以下の実施を強く求める。

    [1] 運転を停止した柏崎刈羽原子力発電所について、外部の専門家を入れてきちんと点検するとともに、安易な再開は許さないこと。

    [2] 全国の原発を停止させて、緊急の安全点検を行うとともに、全国の原発の耐震補強を実施すること。

    [3] 原発の「耐震基準」を見直すこと。

    [4] 原子力発電所の自主防災・消火体制を強化すること。

  7. 特別法の制定の検討について

    中越沖地震被害に対処するため、今後の被害の状況を踏まえつつ、被災自治体等に対する特別の財政援助並びに社会保険の加入者等についての負担の軽減、中小企業者及び住宅を失った者等に対する金融上の支援等の特別の助成措置について定める特別法の制定を検討すること。

以上