声明・談話

2005年3月28日

内閣府防災担当大臣
村田 吉隆 様

社会民主党福岡県西方沖地震対策本部長
社会民主党党首
福島みずほ

「福岡県西方沖地震」災害対策に関する緊急申し入れ

3月20日10時53分、福岡市玄界島の北西わずか約8キロの地点を震源として、福岡県において近代的地震観測が始まって以来最大のマグニチュー ド7の「福岡県西方沖地震」が発生しました。社会民主党は、地震発生直後から緊急の連絡体制を敷き、21日に暫定的に「福岡県西方沖地震対策本部」を立ち 上げ、被害状況の把握や避難所のお見舞いなどに努めてきました。22日には正式に対策本部を設置し、改めて26日、調査団を派遣し被災現場での被災者の生 の声を伺って参りました。

すでに発生から8日間が過ぎますが、大激震以後、昼夜別なく余震がいまだに続き、加えて悪天候も重なり、全地域において調査が進むにつれて地震の つめ跡が日を追うごとにあらわになってきました。死傷者数は発生当日の84名が25日には死者1名を含む768名に増え、家屋損壊などの被害件数も膨ら み、被害件数、被害額が拡大しています。震源地に近い玄界灘の島嶼部や沿岸部を中心として、甚大な住宅、漁港、港湾施設、水産業共同施設、林地荒廃、治山 施設、農業施設等の深刻な被害が発生しています。

特に玄界島では、200棟余りある建物の8割の家が居住不適とされ、事実上の全島避難を余儀なくされています。九電記念体育館で避難生活を送る玄 界島の住民らは、慣れない暮らしに精神的負担は大きく、日を追うごとに疲労の色が濃くなっています。「元通り生活できるようにがんばりたい」という切実な 声を伺ってきましたが、玄界島の復旧・復興にはなお時間がかかることが心配されます。

被災者支援対策、被害復旧・復興、産業経済の回復、再発防止のための災害復旧事業の早期促進などについて万全の対策が求められており、社会民主党として、今回の調査で明らかになった実態を踏まえ、とりわけ次の諸点の早期実現について、政府に対し強く申し入れるものです。

1.財政支援

[1] 深刻な被害の実態を踏まえ、災害の復旧・復興関係事業について予備費を積極的に活用するとともに、早期に激甚災害に指定することも含め、国として可能な限りの支援を行うこと。

[2] 玄界島では、集落は急傾斜地の斜面に寄り添うように建ち、道路整備や復旧工事も苦労が想定される。小中学校などの仮設校舎を建てるにも、土地がなく、別の 土地に住宅を移転できるかといえば、漁業を生業とする島民にとっては難しい。玄界島の復旧・復興支援に関しては、激甚災害法上の農業・水産業などの特例措 置や離島振興法の活用をはじめ、産業基盤や生活環境整備などに特別な措置を講じること。島嶼部の特殊性に鑑み、激甚災害指定基準の見直しを検討すること。

[3] 災害復旧事業、災害救助活動等の実施には莫大な費用が見込まれ、被災市町村の財政が著しく圧迫されることから、4月交付予定の普通交付税について6月分の普通交付税も繰り上げて加算交付するとともに、12月交付予定の特別交付税の早期交付を検討すること。

[4] 災害復旧事業の財源となる地方債の要望額を確保し早期に許可するとともに、災害復旧事業債に対する交付税措置の充実を図ること。

[5] 外見は大丈夫でも内部が損傷を受けている可能性があり、被災地域の調査を一層推進すること。

[6] 物的被害を受けた公共土木施設や学校施設の速やかな復旧に向け災害復旧事業や災害関連事業の早期採択に努力すること。

2.生活支援

[1] 島民の避難生活の長期化も懸念されることから、避難生活者に対し、食料、医療、寝具、日常品などのきめ細かな支援を講じるとともに、被害を受けた住民への 心のケアに積極的に取り組むこと。希望をきめ細かく聞いた上で、避難住民のため、緊急避難的に県営住宅などの空き部屋の提供を検討するとともに、島民のた めの仮設住宅を早急に設置すること。

[2] 税や各種社会保険料の減免・納税猶予、生活資金及び災害援護資金等の融資条件の緩和措置等を講じること。

[3] 被災者生活再建支援法の柔軟な適用を図ること。深刻な被害を受けた個人住宅の救済策について抜本的に検討し、被災者生活再建支援法改正案を早期成立を図ること。

[4] マイホームを手に入れたばかりの家庭に、避難所暮らしの不自由さに加え、始まったばかりのローンの支払い、壊れた家具や家電、部屋内部の補修といった経済的負担が追い打ちをかけるケースも生じており、生活の安定・再建に全力を尽くすこと。

[5] 学校など教育施設の早期復旧と合わせ、児童・生徒の学習が滞らないよう万全な対応を講じること。

[6] 余震がいつまで続くか分からないだけに、西ノ浦地区や志賀島地区をはじめとする被災地域にも十分配意すること。

3.産業支援

[1] 被害にあった企業とりわけ中小企業が円滑な事業復旧を図れるよう、被災中小零細企業等に対する災害融資等の支援を迅速・的確に行うこと。また、無利子融資 の創設や既存債務の返済猶予、税の減免、納税の猶予等、金融、税制面を中心に思い切った支援策を講じるよう検討すること。

[2] 労働・雇用面について労働者・事業主等からの相談にきめ細かく対応する体制を整備するとともに、被災企業における休職・解雇が生じないよう支援措置に万全を期すること。

[3] ヤズ漁が始まったばかりの玄界島、いりこが特産の西ノ浦地区をはじめ、漁港、港湾施設、水産業共同利用施設の被害が大きいことから、漁港・港湾、水産業共 同利用施設の早期復旧に向けて応急措置に対する国の支援を拡充すること。また、漁業を生業としている被災者の就業支援に万全を期すること。

4.その他

[1] 高層ビルのガラスの破損、落下対策を推進すること。

[2] ブロック塀の危険な個所の実態調査を推進すること。

[3] 博多湾を埋め立てた造成地では、液状化現象や地盤沈下が発生しており、十分な対策を講じること。

[4] がれきなど災害廃棄物の搬出・処理への支援措置を講じること。

[5] 福岡は公共施設の耐震化が遅れているが、公共施設はいざというときの避難所や災害対策の拠点となることから、耐震化を早急に推進すること。

[6] 一般住宅の耐震化を促していくため、 耐震診断、耐震工事資金の貸し付けの制度化、耐震補強工事の助成等を推進すること。倒壊の危険のあるマンションなど集合住宅の建て替えに対して支援策を講じること。

[7] 福岡市中央区や震源に近い福岡県前原市で、「新耐震基準」を満たしているはずの築十年未満マンションで壁の亀裂など被害も甚大であることが明らかになって きた。災害時のリスクに対応するため、融資に伴う求償権の範囲を物的担保に限定するノンリコース(非遡及型)ローンの普及を検討すること。

[8] 地震発生後、電気や水道管の点検と偽って部屋に上がり込み、財布を盗む窃盗事件や、避難宅を狙った空き巣が続発しているが、犯罪防止、被災者の安心の確保に努めること。

[9] 国の重要文化財である筥崎宮の本殿の一部や千利休が奉納したとされる高さ約3メートルの石灯籠が壊れるなど、国・県指定の重要文化財や名勝・史跡などでも 多くの被害が発生した。美術館などでも所蔵品が落下して壊れる例が相次いでいる。これら深刻な被害を受けた文化財・美術品の調査・修復の推進を図ること。