声明・談話

2002年9月27日

原子力発電からの政策転換を求める6つの提言

社会民主党

 社会民主党は、東京電力による原発補修記録改ざん事件の発覚後、直ちに東京電力本社ならびに平沼赳夫・経済産業大臣に対し、事実関係の究明を申し 入れてきた。その後、東京電力にとどまらず、多くの原発で発覚したひび割れ・損傷隠しの事実、原子力安全・保安院のずさんなチェックなどを踏まえ、社民党 は、原子力発電に依存した政策を転換するため、以下のような「6つの提言」を示し、政府に対して実行を求めていく。

  1. 原子力安全規制行政の大胆な改革
    今回の東京電力による原発補修記録改ざん事件において原子力安全・保安院は、少なくとも今年5月にGE社から20数件にわたる補修記録の改ざん報告を受 けた段階で、そのプラントを確認・公表し、運転を止めてから調査と安全評価を行うべきであった。国民の生命・健康の問題に直結する原子力発電の運転に関 し、安全・保安院が安全性の十分な確保を怠ってきたことは明白であり、保安院長はこの一点だけでも辞任に値する。原子力の安全性をチェックするはずの機関 が電力会社によるデータ改ざん・隠蔽にどこまで関与していたのか、過去に遡った徹底的な調査が必要である。
    また、安全・保安院が原子力行政を推進する経済産業省のもとに置かれているようでは、原発の安全性を確保することは困難である。現存の安全・保安院は廃 止し、経済産業省から切り離した上で、原子力安全委員会と合体させるような大胆な改革を求める。同時に、新たな原子力安全規制機関には原発立地県の知事が 推薦する者を、委員として必ず含めるべきである。
  2. 現段階での維持基準導入は安全規制の強化に逆行
    欧米諸国で導入されている原発機器類の「維持基準」導入が問題解決のための唯一の方策のように言われているが、十分な安全性の確保という立場にない原子力規制行政をそのままにしての導入は、不正や隠蔽を合法化させるだけになりかねない。
    総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の「原子力安全規制法制化検討小委員会」の中間報告(9月26日)では、安全性の判断について「科学的・ 合理的な根拠に基づき、国民や地域住民に対して明確かつ十分に情報公開や説明を行い、説明責任を果たしていくことが必要」と指摘している。しかしながら、 このような前提が存在しない現状においては、維持基準の導入は原発の運転基準を緩和させるに過ぎず、安全基準の強化にむしろ逆行するものとして反対せざる を得ない。
  3. すべての原発の運転中止と第三者機関による徹底調査
    東京電力による29件の補修記録改ざんのうち、法令違反と考えられる6件については見事なまでに機器の交換や補修が、すでに済まされている。このような 奇妙な符合を偶然のものと済ませることはできない。信頼性のない安全規制機関に調査を預けていても、徹底調査は不可能である。今回の事件を踏まえ、すべて の原発の運転をいったん停止し、安全・保安院とは別の第三者による特別の調査機関を設置した上で、一斉調査を行うべきである。その場合、調査機関のメン バーには原子力に批判的な立場の科学者、技術者を加えることも不可欠の要素である。立入り検査には立地自治体の担当者も必ず含めるべきである。
  4. プルサーマルなどプルトニウム利用政策の中止
    今回の事件によって、福島県や新潟県の知事および原発立地市町村からプルサーマルの白紙撤回宣言が行われている。これまで積極的に原子力に協力してきた自治体から「協力拒否」が打ち出される事態は、プルサーマル計画そのものが成立しない状態にあることを示している。
    その一方、青森県ではプルトニウムを取り出すための再処理工場が急ピッチで建設されなど、政府の原子力政策は極めて矛盾している。現状に則して、すべてのプルトニウム利用政策を中止すべきである。
  5. 原子力に偏重したエネルギー政策の転換
    現在、中部電力ではすべての原発の運転が中止され、その他の原発でも多くのものが稼動していない。にもかかわらず、同等規模の火力発電が存在するため電 力供給にはまったく支障がない。石油の購入費用が増大するものの、それが電力料金を押し上げる要因にすらなっていない。この事実は、原発が止まると電力危 機が訪れるという宣伝が偽りであることを示している。加えて、原発は廃棄物や廃炉の問題など負の遺産も多く抱えている。政府は、いまこそ脱原発を前提とし たエネルギー政策への転換を大胆に打ち出すべきである。
  6. 自然エネルギー等の促進政策・制度の導入
    社民党は、石油火力を風力発電や太陽光発電、バイオマス利用に代替していくことを従来から強く主張してきた。燃料電池などの新技術開発、都市型コジェネ レーションによる熱と電気の共用など、開発課題は多い。太陽光発電は単独で日本のピーク電力をカバーできるほどの潜在能力を持つ。一定の目標を定め自然エ ネルギー等の利用を引き上げることが重要であるが、現在は低い政策目標(自然エネルギーで2010年に電力供給量の1%程度)にとどめられている。現在、 「自然エネルギー電力買い取り法」のような促進政策を実行に移せば、エネルギー代替が急速に進む環境にある。自然エネルギー等の利用促進を図る措置を政府 に強く求める。

以上