声明・談話

2000.9.14

与党・あっせん行為利得処罰法案についての考え方(要旨)

社会民主党
幹事長 渕上 貞雄

 与党案は、以下のように、あっせん利得罪が問えるまでに高いハードルが設けられているだけでなく、さまざまなグレーゾーンや抜け道が考えられるものとなっている。

今後、野党の共闘を強化することによって、より厳格な内容の法案を対置し、国民の前に与野党の相違点を明確にしていくことが求められる。社会民主党は、実効性のあるあっせん利得罪法案の早期成立を期するため、全力を挙げる。

一、与党案の問題点

(1)野党案は、まず立法者である国会議員自身が自ら率先して範を示し、その後、対象を拡大していくという立法スタイルをとっていた。しかし、与党 案は、いっきに対象を広げようとしながらあえて公設秘書に限ったことによって、私設秘書に口利き行為を任す場合など私設秘書を通した抜け道を温存するもの となっている。

(2)あっせん利得罪の構成要件に、現行の刑法のあっせん収賄罪の発動を難しくした「請託」の要件が含まれている。密室で交わされることが多く立証 が困難とされる請託を受けることが必要とされるのであれば、法の実際の適用はきわめて難しくなる恐れが強く、あっせん利得行為の禁止によって刑法の隙間を 埋めようという意味を失わせしめるものとなる。

(3)政治家本人以外が金銭を受け取ることをも処罰対象とする第三者供賄処罰についても、法文には明記されていない。「政治家本人らの支配が事実上 及ぶ場合は本人と一体とみなす」との与党見解を示すことで、政党支部や政治資金管理団体、政治団体、公設秘書、私設秘書、三親等以内の親族などが見返りを 得た場合も対象に含むことにするといわれている。しかし例えば公設秘書が口利きして得た報酬を(秘書自身の支配下にあるとはいえない)政党支部や議員の資 金管理団体に入れた場合や議員が知らないうちに秘設秘書があうんの呼吸で口利きをし報酬を得た場合など、どこまでならよいのか、どこからが悪いのかが不明 確であり、罪刑法定主義の観点からも問題があり、きちんと監視する必要がある。

(4)与党案は、あっせん利得罪の対象を、財産上の利益を「収受」した場合に限定しており、利得を「要求」したり「約束」したりした場合、あっせん 利得罪の未遂罪は対象外とされている。同時に、財産上の利益を「供与した者」のみを対象とし、「申込み」をしたり「約束」したりする者は除外されている。

(5)連座制が設けられていないことから、たとえば、公設秘書のあっせん利得罪が確定しても、国会議員には罪は及ばない。

(6)対象となる口利き行為についても、公務員の「職務に関する行為」全般ではなく、「契約・行政処分」に限定されている。このため、補助金の増額 や入札の際の指名業者の指定、許可・認可などについて、口利きして報酬を得た場合は対象となる。しかし、契約・行政処分以外の、役所の調査・企画立案など の政策決定過程への関与は外されることになり、たとえば、業界を保護する税制改正や法案の作成、住民の要請による市バスの停留所設置や歩道橋の設置などに ついて、取り次ぎ、報酬を受け取ってもあっせん利得罪には問われないことになる。

(7)あっせん利得の範囲が、「賄賂」ではなく、「財産上の利益」に絞られたことによって、選挙応援などの労務の提供を受け取ってもあっせん利得罪の対象とならなくなる。

(8)与党は、政治資金規正法で適法に処理されたものをすべて適用除外とするのではなく、金額や利得の時期から対価性があると判断される場合は処罰 の対象とするというが、その対価性を判断する基準は法文に盛り込まれていない。どの程度の金額の増加や時期の接近を利得罪として認定するのかなど、利得罪 の認定の基準によっては、大きく網からもれてしまう。また、口利きと献金時期に時間差をつければよいということにはならない。先に献金し政治家と関係をつ くっておいて後で口利きしてもらって報酬を受け渡しした場合や、別の議員を介在させる場合も想定すべきである。

二、修正・補強すべき点

(1)処罰対象に、地方自治体の首長、議員、公設秘書だけでなく、私設秘書も含むこととする。

(2)構成要件から「請託」要件をはずす。

(3)第三者供賄についても明確に規定する。

(4)「収受」「供与」だけでなく、「要求」「約束」「申込み」も含むこととする。

(5)連座制を設ける。

(6)対象となる行為を「契約・処分」に限定するのではなく、「職務に関する行為」全般に拡大する。

(7)「財産上の利益」以外のものも含むよう「報酬」の内容を拡大する。