声明・談話

平成一三年度農林水産関係予算に関する申し入れ

平成一三年度予算は、食料・農業・農村基本法にもりこまられた食料自給率の向上、国内農業生産の維持増大、食料の安定供給、農業の持続的発展と多 面的機能の発揮、直接支払い制度など、多くの課題を具体化するための予算である。社会民主党は以下の主要事項について予算措置を講ずるように申し入れる。

記一、農業関係予算について

  1. 食料自給率の向上、食料の安定供給のために、水田を中心とした土地利用型農業を確立し、米生産の維持、麦、大豆、飼料作物(エサ米、エサ 稲、稲ワラを含む)など主要農産物の生産増大をはかること。そのため、地域の特性にあわせ「田畑輪換」を可能とする土地基盤整備と機械・施設整備などの生 産条件の整備をすすめ、生産性の向上、コスト低減をはかること。また、生産費を保障し再生産が確保できる所得と経営安定対策を確立すること。
  2. コメ需給均衡と稲作経営安定のため、わが党が提唱している「東アジア食料安全保障構想」(食料不足国に対しコメなどの賃借・援助システム) によりMA米、政府備蓄米の海外援助の拡大と平成一二年産米の政府買い入れ措置の拡大をはかること。米価下落に対し稲作経営安定対策の価格補てん率の引き 上げと補てん基準価格の下支え対策を講じるとともに、抜本的な所得補てん対策を護ずること。
  3. 国内での農業生産を基本とし、その維持増大をはかるため、農地転用規制の強化、耕作放棄地の管理・積極的利用をはかること。また、家族農業 を基本とした集落営農、農業生産法人など生産組織の強化と、雇用・所得の確保のための加工、流通、販売を取り込み、地場生産、地場消費による自立的な農村 経済を再生すること。
  4. 農業構造改善事業は大規模干拓事業などを見直し、資源環境・地域循環型農村社会の方向を明確にして、省庁の枠をこえた生産基盤と生活基盤の 一体的整備をはかること。とくに(1)土地改良事業などは地域の実情(小規模土地改良など)にあわせ、農業者の企画・事業参加を保障し、雇用と所得確保に つながるものとすること(2)地域複合農業のため家畜排せつ物処理と、土地利用型農業との結合をはかり、農地への堆きゆう肥の還元による環境保全型農業の 推進に役立てるものとすること(3)生活環境整備のための集落排水事業(農水省)合併浄化層(厚生省)公共下水道(建設省)事業は、省庁の枠をこえ地域の 実情と関係住民の要望に沿ったものとすること。
  5. 農業者年金の改革に当たっては(1)現行受給者の年金水準を国が保証すること(2)五五歳未満の加入者の基本額経営委移譲年金水準を保証し 「かけ損」は認めない(3)農業者年金のもつ政策年金としての性格を絶対維持すること(4)九四年改正で加入した女性の独自年金の創設、遺族年金の導入を 検討すること。
  6. 直接支払い制度は、中山間産地はもとより、環境保全型農業など自然生態系の保全に対する取り組みや、水の確保、農地と一体となった周辺林地の管理など公益的機能の増進につながるものも対象とすべきである。なお、財源は全額国庫負担とすべきである。
  7. 有機農業をはじめ地域農業の多様な担い手を確保・育成するため自治体との協力により新規就農者、Uターン就農者、定年退職就農者に就農・住宅相談、技術研修、就農・営農資金助成など総合的な施策を講ずること。とくに、研修、就農、営農資金助成の償還免除措置を講じること。
  8. 農村女性の多様な活動を保障し、地域農業づくりのため、農協など農業団体役員への参加を保障するとともに、生産、加工、販売をつうじた女性の各種起業への助成、低利融資など農村での「男女平等参画社会」の実現をはかること。
  9. 都市と農村の交流事業(グリーンツーリズム)を推進するために、農家民宿、市民農園、長期滞在型農園(クラインガルテン)開設・改修などへの低利融資、都市と農村の交流情報の提供をはじめ、各種イベントへの支援をはかるとともに、都市近郊農業の振興をはかること。
  10. 米をはじめ国内農畜産物の消費拡大など日本型食生活の推進のため、地場農畜産物、米飯による学校給食の推進、地場生産、地場消費による「食生活・食べ方をかえる」運動の推進とともに、「食・農教育」など学校・社会教育活動の拡充をはかること。
  11. 国民の食料品の安全性に対する不安をなくし、安心して食生活ができるよう省庁の枠をこえ国内農畜産物、輪入食科品などすべての食料品の残留 農薬、ダイオキシンなどの安全検査を徹底すること。とくに、生態系に重大な影響を及ぼすおそれのある遣伝子組み換え農産物、食料品については国内生産はも とより、輸入も認めない。現行の原産地表示制度をさらに透明性のあるものとするとともに、牛乳については生乳を原則にし表示制度の改革など「食糧行政」の 強化、拡充をはかること。

二、林業関係予算について

  1. 現在、検討がすすめられている林業基本法等の改革に関連し持続可能な森林経営を推進するため、(1)森林整備にかかわる補助制度の拡大、補 助率の引き上げなど公的支援の拡充・強化(2)林業事業体の育成・強化、労働力の確保および林家への支援策の拡充(3)国産材の需要拡大のため、木材の乾 燥施設の整備、流通機構の改革と住宅政策との連動をはかること。
  2. 循環型社会の実現に向けた森林資源の充実のために、民有林・国有林とも森林の公益的機能の発揮、環境保全、水資源の確保、山地災害防止等に 向け、緊急に森林整備を必要とする森林に対し、不要不急の公共事業の見直しをはかり全額公的資金による造林-保育、間伐を実施し、将来ともに「みどりのダ ム建設」に資すること。
  3. 川上と川下を結ぶ一体的な施策を展開するため、現行の「流域管理システム」の機能の拡充・強化を図るとともに、農業・林業・水産業の施策の有機的結合と、水資源、環境問題等で都市との政策の共有化をはかり、農山漁村の活性化をはかること。
  4. 国有林野や事業については、改革の趣旨、国会論議の経過等をふまえ、森林整備と適切な管理をすすめるため(1)水土保全林整備への支援措置の拡大(2)公益林管理の拡大(3)治山事業費の拡大による森林整備の強化など、一般会計からの繰り入れ措置を拡充すること。

三、水産関係予算について

  1. わが国周辺水域の水産資源を保全し、その有効利用と漁業経営安定をはかるため「つくり育てる」管理型漁業の一層の推進をはかるとともに、漁業活性化のために担い手の確保と育成事業を拡充・強化すること。
  2. 漁業資源の減少や漁場の悪化、漁業者の減少・高齢化・流通の高度化に対応するため、沿岸漁場整備、漁港整備、海岸整備事業をはじめ、集落道、集落排水施設など生産基盤と生活基盤整備事業を一体的に推進すること。
  3. 消費者ニ-ズに対応するため、市場統合など流通の合理化・効率化をはかるとともに、原産地表示をさらに透明化し国産水産物の消費拡大対策を推進すること。

二〇〇〇年八月三一日

社会民主党
党首 土井 たかこ

社会民主党農林水産部会
部会長 谷本 巍

農林水産大臣
谷 洋一 殿