声明・談話

1999年12月14日

家庭内暴力の防止及び被害者の保護に関する法律案骨子(案)

社会民主党

一 総則

1.目的

この法律は、家庭内暴力に係る通報、相談、指導、保護等の体制の整備等を定めることにより、家庭内暴力の防止及び被害者の保護を図ることを目的とする。

2.定義

この法律において「家庭内暴力」とは、次の各号のいずれかに該当する関係にある者の間の暴力をいう。

一 夫婦(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情のある場合を含む。)
二 同居の親子(縁組の届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある場合を含む。)
三 その他の同居の親族又はこれに準ずる関係

3.国及び地方公共団体の責務

国及び地方公共団体は、家庭内暴力を防止し、その被害者を保護する責務を有する。

二 家庭内暴力防止センター

(1) 都道府県は、家庭内暴力防止センターを設置しなければならない。
(2) 家庭内暴力防止センターは、家庭内暴力の防止及び被害者の保護に関する事項について、主として次に掲げる業務を行うものとする。

一 家庭内暴力に関する問題について、家庭内暴力の被害者(以下「被害者」という。)及びその家族その他の関係者からの相談に応ずること。
二 被害者及びその家族について、必要な調査及び医学的、心理学的その他の必要な判定を行うこと。
三 被害者及びその家族について、二の調査又は判定に基づいて、必要な指導を行うこと。
四 家庭内暴力の加害者(以下「加害者」という。)について、二の調査又は判定に基づいて、更生のために必要な指導を行うこと。
五 被害者及びその同伴する家族について、保護及び自立の促進のための生活の支援を行うこと。
六 被害者及びその同伴する家族の一時保護を行うこと。

(3) 家庭内暴力防止センターに、所長、被害者等の相談、調査、判定及び指導に関し専門的知識を有する職員その他所要の職員を置く。
(4) 家庭内暴力防止センターには、被害者及びその同伴する家族を保護し、これらの者の心身の健康の回復を図るとともに、自立の促進のために生活を支援する施設(以下「家庭内暴力被害者自立支援施設」という。)を設置しなければならない。
(5) 家庭内暴力防止センターには、被害者及びその同伴する家族を一時保護する施設を設置しなければならない。
(6) (1)から(5)までに定めるもののほか、家庭内暴力防止センターの設置、運営その他の必要な事項は、政令で定める。

三 被害者の保護に関する措置等

1.家庭内暴力発見者の通報

(1)生命又は身体に危害を及ぼすと認められる家庭内暴力により被害を受けている者を発見した者は、その旨を警察署、福祉事務所又は家庭内暴力防止センターに通報するよう努めなければならない。
(2)医師又は歯科医師は、その診療した患者の疾病又は負傷が家庭内暴力によって生じたものと認めたときは、その旨を警察署、福祉事務所又は家庭内暴力防止センターに通報しなければならない。

2.警察署長のとるべき措置

(1)警察署長は、被害者等から通報を受けた場合には、直ちに事実を確認し、必要があると認めるときは、家庭内暴力の制止、被害者の応急の救護その他の適当な措置をとらなければならない。
(2)(1)のほか、警察署長は、被害者等から通報又は相談を受けた場合において、必要があると認めるときは、被害者等に対し、家庭内暴力防止センターそ の他の関係行政機関等の利用についての説明、家庭内暴力防止センターへの送致等の適当な措置をとらなければならない。

3.福祉事務所長のとるべき措置

福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)は、被害者等から通報若しくは相談又は被害者の送致を受けた場合には、被害者の 福祉のために必要な指導又は援助を行うほか、必要があると認めるときは、被害者等に対し、家庭内暴力防止センターその他の関係行政機関等の利用についての 説明、家庭内暴力防止センターへの送致等の適当な措置をとらならければならない。

4.家庭内暴力防止センターの所長のとるべき措置

家庭内暴力防止センターの所長は、被害者等から通報若しくは相談又は被害者の送致を受けた場合には、次に掲げる措置のうち適当な措置をとらなければならない。

一 被害者等からの相談に応じ、必要な指導又は助言を行うこと。
二 被害者及びその家族について、必要な調査又は医学的、心理学的その他の必要な判定を行い、それに基づいて、被害者及びその家族について必要な指導を行うとともに、加害者についてその更生のために必要な指導を行うこと。
三 被害者及びその同伴する家族を家庭内暴力被害者自立支援施設に入所させて保護及び自立の促進のための生活の支援を行うこと。
四 被害者及びその同伴する家族の一時保護を行うこと。
五 被害者及びその同伴する家族の保護又は自立の促進のための生活の支援を他の適当な施設に委託すること。

5.関係行政機関の長の連携

家庭内暴力防止センターの所長、福祉事務所長その他の関係行政機関の長は、被害者の保護に関する措置をとるに当たっては、措置が円滑に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。

四 雑則

1.職務関係者の配慮及び研修

(1)家庭内暴力に係る相談、指導、保護、捜査、裁判等に職務上関係のある者((2)において「職務関係者」という。)は、その 職務を行うに当たり、被害者の心身の状況、置かれている環境等に応じて、被害者の人権を尊重するとともに、その安全の確保及び秘密の保持に十分な配慮をし なければならない。
(2)国及び地方公共団体は、職務関係者に対し、家庭内暴力の特性、被害者の人権等に関する理解を深めるために必要な研修を行うものとする。

2.教育、啓発及び調査研究

(1)国及び地方公共団体は、家庭内暴力の防止に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。
(2)国及び地方公共団体は、家庭内暴力の防止に資するための調査研究の推進に努めるものとする。

3.国の負担

国は、政令の定めるところにより、家庭内暴力防止センターに要する費用の二分の一を負担する。

4.民間の団体に対する補助

都道府県は、被害者の保護等の事業を行う民間の団体に対し、当該事業に要する費用の一部を補助をすることができる。