声明・談話

通商産業大臣  与謝野 馨 殿

エネルギー政策の転換を求める申入れ

 一九九九年三月二六日
社会民主党全国連合

社会民主党は、「エネルギー問題に関する社会民主党の見解と基本政策」を三月一八日の常任幹事会において、別紙のとおり決定した。その骨格は、日 本において「脱原発・脱プルトニウム社会」を実現し、エネルギー消費を削減しながら再生可能エネルギーに対する社会的な投資を拡充することが、二一世紀に 向けた世界の潮流と合致し、活力に満ちた日本を展望できる唯一の方策である--というものである。よって、以下の諸点について貴省庁において検討するよう ここに申し入れる。

一 二一世紀を目前にした九○年代末に当たって、西欧の動向やアジアの諸課題が深刻さを増す中で日本のエネルギー行政、とりわけ原子力行政は曲がり 角に立っている。その基本課題は、国会の権能・役割を抜本的に強化するとともに、エネルギー行政におけるチェックアンドバランスを確立する機構改革を断行 すること。

二 西欧諸国ではエネルギー消費を抑制する方向にあるにもかかわらず、日本ばかリが増加を続けている。エネルギー消費の削減は、経済成長の足をひっ ぱるものでなく、消費削減への投資こそが裾野の広い経済波及効果をもたらす。環境負荷の低滅にむけ、税財政のグリーン化など経済的手法を積極的に検討・活 用するとともに、ライフスタイルの抜本的変革に挑戦すること。

三 省エネルギー社会の構築のため、(1)産業部門を筆頭に、民生、運輸各部門で省エネルギー対策を徹底し、エネルギ-消費を大胆かつ大幅に削減す ること。(2)都市・国土・交通体系を見直して包括的なエネルギー削滅に取り組み、社会全体の省エネルギー化を総合的に実現すること(3)厳格な効率基準 を設定し、罰則を強化するとともに、コジェネレーションやDSM(需要側管理)を積極推進し、脱クルマ社会を実現すること。

四 再生可能エネルギー利用の促進のため(1)原子力発電・プルトニウム利用技術に対する政府資金の重点投入政策を転換し、世界の潮流である再生可 能エネルギーヘの積極投資を日本の基本政策として定め、これを推進すること。(2)当面は、エネルギーの安定供給のため、天然ガスなどを過渡的エネルギー として利用しつつ、あらゆる施策を総動員して再生可能エネルギーの利用技術を開発・確立し、その普及・拡大を図ること。(3)中・長期的には、民間投資の 誘導と技術革新の加速で、効率的な再生可能エネルギーを基本とした社会システムを実現すること。(4)とりわけ、再生可能エネルギー利用・投資への支援を 抜本的に拡充し、これにより発電された電力の電力会社に対する買い取り義務を法制化すること。

五 国際協力の展開については二一世紀には、アジア地域におけるエネルギー需給のひっ追が予想される。日本は、国際社会の中で地球規棋のエネルギー 問題の解決に向け、政治的リーダーシップを発揮することが求められている。率先して再生可能エネルギーの普及・拡大や技術援助などに取り組み、環境・資源 保全に向けた「緑の国際協力」を展開すること。

六 脱原発社会の創造のため(1)脱原発社会の創造に向けて、核燃料サイクルを全面的に見直し、原子力発電所の新規・増設を認めない。(2)原子力 関係予算として投入されている膨大な政府資金を再生可能エネルギーの利用技術開発に振り向ける。(3)当面は、使用済み核燃料の再処理の中断、高速増殖炉 計画の放棄、プルサーマルの即時中止、高経年化対策の断念及び耐震設計の見直し、既存の稼働原発の段階的廃止と新規建設・増設計画の放棄、放射性廃棄物の 厳正な管理・処理を実現すること。

七 豊かで活力ある日本の創造のため、社会民主党は、新たなエネルギープランの策定を要求する。社会民主党は、エネルギー消費の削減と再生可能エネ ルギーの拡充を政策の上位に位置付け、将来にわたり安定的で地球環境、地域環境と調和した経済的・効率的なエネルギー供給を保証する持続可能なエネルギー 体系を構築することを提案する。(1)短期的には、ベースランニング・エネルギーを原子力に依拠しないベストミックスを追求する。(2)天然ガス利用を主 力としながら、太陽光発電や風力発電、バイオマス、燃料電池等の開発を促進しつつ、石油・石炭等の化石燃料は補助的かつ効率的に利用する。(3)中・長期 的には、エネルギー消費を大幅に削減し、再生可能エネルギーを抜本的に拡充する。(4)同時に、コジェネレーションなどを含む地域分散型のエネルギー生 産・消費構造の構築や、国土・交通・都市計画など総合的に再検討し、日本の社会全体の省エネルギー化を実現する総合計画を立案・実施する。また脱原発プロ グラムとして、社会民主党は、(1)今後、原子力発電の新・増設を行わず、プルトニウム利用計画は放棄する。(2)具体的には核燃料サイクル政策を全面的 に見直し、プルサーマルを導入・推進せず、これらの計画・実施を中断する。(3)また、すみやかな「脱原発・脱プルトニウム社会」の実現に向け、原子力発 電所の段階的廃止をめざしつつ、直近の新規原発を含め全ての原発の寿命(耐用年数)が尽きる前までに、原発を全廃する。(4)このため原発寿命の延命策、 である原発の高経年化対策・六○年運転を認めない--を提案する。

社会民主党は、以上の諸施策でエネルギー消費の削減と再生可能エネルギーの開発・拡充により、二一世紀を担う大きな新規雇用を創出し、安心・安全で持続可能な活力ある経済社会を実現することができると確信する。

以上