声明・談話

1998年7月8日

=経済危機の根源は国民の先行き不安= 

=景気回復の決め手はこれ!=

社民党の「5つの不安打開策」

社民党 幹事長

伊藤茂

 日本経済はいま危機的状況にある。自・社・さ連立政権の一翼を担ってきた社民党は、景気に活力を 取り戻すために、特別減税の実現、臨時特別福祉給付金の継続実施、子育て支援基金の創設、中小企業・貸し渋り対策などに全身全霊を傾けてきたが、景気には 未だ回復の兆しが見えない。

この最大の原因が、国民の生活に対する先行不安にあることは明らかである。国民の不安を解消しない限り、金融不安、景気停滞、中堅企業の設備投資 低迷はまだまだ続くだろう。橋本首相は「6つの改革」を発表したが、国民の先行き不安にはまったく触れていないばかりか、改革案の中には展望も示されてい なければビジョンもない。これでは金融も景気もよくなるはずがなく、橋本首相はもはや国政を担当していく能力を喪失しているといわざるをえない。

今回の不況においては、従来型の処方箋すなわち低金利政策や大規模公共事業では、効果がないことも鮮明になった。これは政府の対策がいまもって効 果を上げえていないということで明白である。現下の不況を克服するには、21世紀を展望した新しい処方箋が求められており、社民党はここに中期大目標(3 年)を宣言するとともに緊急対策—5つ、不安打開策—を提起する。合わせて、21世紀の日本経済の展望を切り開くため、各界各層を幅広く集めた国 民的議論の場を設置することも提唱する。

<社民党は提案する>1.<安心できる生活展望を示し、生活不安を解消する>

(1)飲食料品の消費税額戻し金制度を創設する

低所得者層への逆進性緩和策であり、低所得者層の購買力を促進する。

(2)恒久減税を実現する

個人消費を活性化させ、景気回復の足掛かりとする。特に日本のサラリーマン層の70%を占める700万円以下の中堅層に配慮し、この層に減税の効果が最大限及ぶようにする。

(3)産業界、銀行界優遇の超低金利政策を是正する

年金生活者をはじめとする高齢者の生活不安を取り除く。

(4)不良債権の早期処理で金融不安を解消する

不良債権を1年で大枠執行、2年以内の期限で買取り処分を行なう。公的資金の投入は、破綻した金融機関や企業の救済ではなく預金者の保護、健全 な借り手保護であることを鮮明にする。不良債権の実態公表(情報開示)と経営責任を明確にする。金融監督庁による厳しい指導と調査、金融庁の早期創設

2.<健康、福祉、老後の不安を解消する>

(1)患者本位の医療制度改革を進めるために、医療の質を重視した制度改革を行なう(2000年を目途)。

(2)「薬漬け、検査漬け」や「乱診乱療」などのムダで危険な医療の是正。患者に非人間的な環境を強いている社会的入院などの「ムリ・ムラ・ムダ」を解消し、信頼される皆保険制度を守る。

(3)高齢者の自立を支援し、必要なサービスが安心して受けられる介護保険制度を2000年からスタートさせる。

(4)新ゴールドプランの完全実施を進めるとともに、「スーパーゴールドプラン(仮称)」を策定し、保険・医療、福祉などの社会サービスを充実さ せ、ホームヘルパーなどの福祉マンパワーを大幅に拡充し身分保障を確立する。また各種施設の設備、学校の空き教室の活用を含め、高齢者向け「コミュニ ティーセンター(仮称)」づくりを支援する。

(5)各世代から信頼される年金制度をめざし、とくに基礎年金部分を充実させ、公費中心の制度へ移行させる。

(6)年金受領額のアンバランスを是正し、基礎年金の水準の向上で安心して暮らすことのできる水準をめざす。

(7)年金を受給するまでの雇用を保障し、60才以降の年金と雇用の弾力的組み合わせが選択できるようにする

3.<共生の地域社会づくりで地域の不安を解消する>

(1)子どもをあらゆる犯罪から守るとともに、子どもや高齢者をはじめ誰もが安心して暮らせる共生の地域(コミュニティー)づくりをめざす。

(2)少子化や子どもを産み育てる環境に大きな影響を及ぼす保育施策を充実し、公費の大幅拡充を図る。

(3)エンゼルプランの着実な実施を図り、働く女性が安心して子どもを産み育てられる環境づくりを進める。

(4)児童手当の増額、支給要件の緩和など、公的サービスの水準を向上させ公費を増額するとともに、大幅な子育て給付(減税)や住宅整備を行なう。

(5)男女が仕事と家庭生活の両立を図ることができるよう、育児・介護休業制度を拡充する

(6)少子・高齢化社会の進展に対応するため、「より優れたゆとりある住宅を広く国民に提供すること」を明確にし、「住宅基本法」の制定をめざす。

4.<雇用対策の拡充で、失業不安を解消する>

(1)雇用維持・創出に万全の対策を優先する観点から、労働保険特別会計の枠に止まることなく、一般会計による財政出動も積極的に実施。

(2)企業が倒産しても労働者が困らない仕組みの実現をめざし、新しい仕事を見つけやすくするための能力開発と結合した失業給付の支給内容の拡充。

(3)教育訓練にかかる費用を中心に、地域における複数の中小企業の共同利用が可能となるようにするための「雇用調整助成金制度」の改善・拡充。

(4)新産業分野における雇用創出を図るとともに、労働需給のミスマッチを最小限のものとするための「新規雇い入れ助成制度」の拡充。

(5)新卒者対策の強化及び企業内の能力開発等に対する支援強化や公共職業訓練の多様化。

(6)倒産など雇用の激変に伴う生活不安に迅速に対応するための、「未払賃金の立替払制度」の抜本的な拡充

5.<中小企業対策・貸し渋り対策の充実で、不安を解消する>

(1)貸し渋りを受け、厳しい経営環境にある中小企業のために、政府軽金融機関の融資拡充、審査の改善を行ない、手続きを簡素化・迅速化する。まや信用補完成度を拡充する。とくに信用保証協会の無担保・無保証人での保証枠をこれまで以上に拡大する。

(2)創造性豊かな中小企業を支援するため、金融機関での物的担保中心の融資審査を、経営能力や技術力など、総合かつ公正に評価する審査システムに転換する。中小企業の定義を見直し、中堅・ベンチャー企業も対象にする。

(3)環境、医療・福祉関連など、21世紀を展望した新しい産業を創出するために、人材・資金・技術支援を行なう。

(4)女性起業家を育成、支援するために、各種研修・相談を実施するとともに、債務保証や優先的な資金融資など資金援助体制を創設する。

(5)中小企業官公需適格組合を法律化して政府・自治体に中小企業への官公需の発注を義務付ける。また中小企業事業分野調整法を改正・運用強化し、中小企業が大企業と対等に活動できる環境を整備する。