日朝問題に関するQ&AQ1 なぜ、日本社会党の時代から朝鮮労働党と交流関係を持ってきたのでしょうか。 〔分断固定化に抗する〕 特に、今だに朝鮮半島が南北の軍事境界線で分断され、互いに銃口を向け合っている状態が続いていること、三十八度線をはさんで北朝鮮とアメリカが今だに休戦状態にあるという異常な状況を改善するための努力は、当時の社会党が中心となって行なってきたと言っても過言ではありません。 社会党が最初に訪朝団を派遣したのは一九六三年です。戦後、米ソ対立の中で東西冷戦構造が作られ、朝鮮半島においても南北の分断が固定化されようとしていました。米国との同盟関係を重視する日本政府は、大韓民国(韓国)とのみ国交正常化を図ろうとしていました。 社会党は、植民地支配や強制連行などについての戦後処理は、朝鮮半島全域に及ぶことなどを踏まえ、日本と北朝鮮との早期の国交正常化をめざして野党外交として朝鮮労働党との交流を開始したのです。 Q2 北朝鮮との交流を行なっていたのは社会党、社民党だけだったのでしょうか。 〔超党派の交流活動も〕 冷戦構造の崩壊とともに、こうした努力の積み上げを基に、ようやく日朝関係にも変化が起こりました。九〇年九月には金丸・田辺訪朝団が総理親書を持って金日成主席と会談し、自民党、社会党、朝鮮労働党の三党共同声明をもって日朝国交正常化交渉の開始を確認しました。九一年には初めて日朝の政府間による正常化交渉が開始され、その後も断続的な交渉が続いてきたのです。今回の日朝首脳会談もこうした地道な努力があったからこそと言えます。 Q3 一九九九年に全政党が参加した「村山訪朝団」は、どのような構成でしたか。 〔全政党参加の代表団〕 植民地支配の清算は、今なお未解決の重要なテーマです。九五年八月十五日に村山内閣が「侵略と植民地支配によってアジアの諸国に損害と苦痛を与えたことに対して反省し、お詫びする」と戦後五十年の談話を発表したことは、日本の基本的な考え方を内外に明らかにする意味で大変重要な意義がありました。 その後の歴代政府も、どのような連立政権の組み合わせであっても、この談話を基礎に据えて近隣諸国との外交折衝に臨んでいます。今回の小泉内閣の日朝平壌宣言も村山談話を基礎にして「日本は、過去の植民地支配によって朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した」とした上で、交渉を進めていくことが明らかにされています。村山訪朝団も、村山談話で明らかにされた歴史認識を基に日朝国交正常化交渉の早期再開をめざしたものでした。 Q4 かつての社会党は北朝鮮に厳しい要求や交渉をしたことはなかったのですか。 〔だ捕事件解決で役割〕 漁船のだ捕など明らかに存在を確認できた事件について、真剣な交渉をして事件の解決に結びつけた事例は、その後の一九八四年の第三十六八千代丸、だ捕された後に七年間にわたって刑務所に収容されていた漁船員を、交渉の末に帰国させた第十八富士山丸に至るまであります。 第十八富士山丸の事件では、北朝鮮からの出航時に船内に潜り込んでいた密航者を日本の入管に引き渡したところ、入管から船長が北朝鮮に必ず次の航海で連れて帰るように誓約書を要求されました。ところが、再び乗船させる直前になって「事情が変わって乗せられない」という連絡を入管から受け、そのまま北朝鮮に向けて航海したところ、スパイ容疑で逮捕されてしまうという入管当局、国家の責任が絡む事件なのです。 国内では、第十八富士山丸乗組員の救援運動が起こり、社会党も熱心に取り組むとともに、党訪朝団は、たびたび乗組員の引き渡しを働きかけました。八七年には当時の土井たか子委員長が金日成主席との会談で「乗組員の釈放・帰還」を強く切り出し「政府間交渉に委ねる」との返答を得ています。しかし、解決は長引き、九〇年の金丸・田辺訪朝団でようやく解放が決まり、その後の土井たか子・社会党委員長と小沢一郎・自民党幹事長が乗るチャーター機で帰国を果たすことができたのです。 野党外交を担ってきた当時の社会党は、北朝鮮に捕らわれている漁民の帰国のための交渉などに、しっかりとその役割を果たし、再発防止のための漁業協定の締結に努めてきました。ただ、交流を重視するあまり、軍事優先の先軍政治や専制的な政治体制に明確な評価を下すことはありませんでした。その点は反省しています。お互いに率直にものを言い合うことが重要であり、そのことによって初めて表面的ではない信頼関係ができるのです。 Q5 韓国との関係はどうだったのでしょうか。 〔韓国民主勢力と連帯〕 これに先立つ七三年には、金大中氏が日本に滞在中に何者かによって韓国に連れ去られるという事件が起こりました。警視庁の捜査で金東雲一等書記官の指紋が現場から検出されるなど韓国KCIAの関与が濃厚で、わが国に対する重大な主権侵害であるにもかかわらず、日本政府は韓国との間においてあいまいな政治決着を図りました。 ついに金大中氏は、光州事件の首謀者として軍法会議で死刑を宣告されました。社会党は「金大中氏を殺すな」という日本国内の一大運動に積極的に参加し、韓国民主勢力と連帯して行動を起こしました。国際世論の監視が金大中氏の生命を守り抜いたのです。間もなくその任期を終える金大中大統領と私たちとの間には、死刑判決に沈黙し、黙認してきた保守勢力にはない信頼の絆があります。土井党首は、金大統領と会談し「北東アジアの非核地帯構想」にも共に取り組む決意を示しています。 Q6 拉致問題にどのように取り組んできましたか。 〔批判を重く受け止め〕 拉致問題が日朝間の話し合いのテーブルに載ったのは一九九七年の与党訪朝団以降です。社民党も参加した訪朝団の追及に対して朝鮮労働党は「拉致などありえない。行方不明者ならありうるので行方不明者としてなら調査する」と主張しました。 九九年の村山訪朝団においても、この問題をめぐって激しいやりとりが行なわれましたが、同様の対応でした。この時には「日朝両国が関心を持っている人道問題解決の重要性について合意し、それぞれの政府の協力の下で、赤十字に対してお互い協力していくよう勧告することにした」との文面による共同発表となります。 国交のない国とのこととはいえ、拉致された方々やご家族のご苦労と心痛を思えば、追及や取り組みが不十分ではなかったか、との批判は大変重く受け止めなければなりません。 社民党が「拉致の事実はない」とする朝鮮労働党の主張をうのみにしてきたとの批判がありますが、二〇〇二年四月、「日本人拉致疑惑の早期解決を求める国会決議」を国会が全会一致で採択したことも付け加えておきます。社民党が「拉致事件」を否定し続けてきたなどという悪宣伝は、全政党が参加して進められてきたこの間の歩みを忘却し、隠ぺいすることに他なりません。 Q7 拉致事件と社民党について批判的な報道があるようですが。 〔事実に基づき毅然と〕 この問題で土井党首は「厳重に抗議して最近、ようやく訂正に応じました。よく調べないで報道するのは言論の暴力です。当時、直接、私がお聞きしても何ができたか分かりません。が、努力できることは努力すべきでした。結果としてつらい思いをさせたことは、本当に申し訳ないと思っています」(二〇〇二年十一月二十九日、土井党首の『朝日新聞』インタビュー)と語っています。 十一月二十一日のテレビ朝日の朝の番組で「事実ではなかった」との訂正がなされましたが、こうした報道を利用して「社民党を消してしまおう」という勢力からの攻撃の意図は悪質です。村山元総理や濱田健一元政審会長も拉致被害者の家族の方々と面会し、誠実に対応してきました。事実をねじ曲げて社民党を攻撃し、偏狭なナショナリズムをあおるような報道や風潮には毅然として対応しなければなりません。 Q8 核開発問題についてどう考えますか。 〔核開発の断念求める〕 北朝鮮による核開発は、NPTや一九九二年に南北が合意した「朝鮮半島非核化宣言」に違反し、朝鮮半島の核問題について「関連するすべての国際的合意を順守する」とした「日朝平壌宣言」の内容にも背くものです。 また、八一年には社会党と朝鮮労働党の両党で「東北アジアにおける非核・平和地帯創設に関する共同宣言」を発表しています。「宣言」では「東北アジア地域に展開されているすべての核兵器を撤去・破棄しなければならない。この地域の核兵器と生物化学兵器の開発・実験・生産・所有・運搬・貯蔵・持ち込みおよび使用を一切禁止しなければならない」としています。私たちが北朝鮮の核開発問題、核施設再稼働問題を見逃すことができないのは、こうした歴史的な経過も踏まえてのことです。 北東アジア地域の緊張を激化させかねない核開発に対し、社民党は、あらゆる核に反対する立場から北朝鮮が計画を直ちに断念するよう求めています。また、NPT脱退などの強硬な姿勢を撤回するべきだと国際世論に働きかけます。同時に、米国や日本、韓国、さらに中国やロシアなどの関係国が対話による平和的手段によって問題の解決を図ることを強く主張していきます。 Q9 北東アジア地域の平和と安定に向けて、どのように取り組みますか。 〔「平和構想」を土台に〕 具体的には日本、韓国、北朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、アメリカ、カナダの八ヵ国による「北東アジア総合安全保障機構」の創設と、核保有国も同意する日本、韓国、北朝鮮、モンゴルによる先行的「北東アジア非核地帯」の設置を柱とするものです。 土井党首は、この構想を持って韓国、モンゴル、中国を訪問し、各国首脳との間で「平和構想」に対する支持と協力を取り付けました。来日したロシアの外相とも会談、賛同を得ました。社民党は今後とも、この「平和構想」を土台に北東アジアの平和と安定に全力を挙げます。 Q10 在日朝鮮人・韓国人の権利についてどう考えますか。 〔多文化共生社会こそ〕 現在、朝鮮籍あるいは韓国籍を持つ方々が六十万人以上、日本で暮らしています。そこには三十六年間にわたる日本の植民地支配や強制連行の歴史が厳然と横たわっています。にもかかわらず在日の方々は「国籍条項」によって戦後の長い間、福祉手当などの給付が行なわれてきませんでした。現在でも高齢者の方への年金給付は行なわれていないなど、社会のさまざまな分野で差別や権利の抑制が続いています。 社民党は、日本で暮らすあらゆる人たちが安心して生きていける多文化共生社会を実現するため、定住外国人の地方参政権の実現など在日コリアン、在日外国人の権利の向上のために努力いたします。 |