社民党の政策 9つの約束
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I.〈環境〉

 社民党の環境政策は、美しい自然を取り戻したり、生活環境をきれいにするというだけにとどまらず、人間と自然の共生が図れる社会をつくることを目的としています。
 人間には、過酷な労働からの解放、便利さや快適さの追及という果てしない欲望があります。この欲望によって人類の生活は限りなく進歩しましたが、反面、自然や生態系、生活環境は破壊され汚染されるという結果をもたらしました。社民党の目指す自然との共生社会とは、人間の属性とでもいうべきこの欲望を人々の合意と協力によってコントロールしていく社会のことです。
 共生とは、換言すれば、人間のあらゆる活動を、自然や他の生物の再生(再生産・循環)が可能な範囲にとどめるようにするということです。この観点から以下の政策を提起します。 

1.エネルギー政策を転換します

(1)脱原発の推進

 国の方針として脱原発を推進していくことを明確にし、エネルギー基本計画を根本から改訂します。プルサーマルや再処理などプルトニウム利用計画は直ちに中止します。また原子力関係予算を削減して、再生可能な自然エネルギーの開発や利用技術向上のための予算に振り向けます。さらに固定価格による自然エネルギー買い取りを保証する「自然エネルギー発電促進法」を制定し自然エネルギーの利用普及を目指します。また9つの地域電力会社による電力の発電、送電、配電の独占経営を見直し、統合、分割を含む再編成に着手します。

(2)地球温暖化対策の推進(脱化石燃料)

[1]産業界に削減義務づけ
 地球温暖化対策を進め、日本の公約であるマイナス6%削減を達成するために、まず事業者に対して、全体の削減目標や年次ごとの目標を定めさせるとともに、その計画と実施状況の公表、排出した温室効果ガスの排出量などを公表させるようにします。排出削減努力がたりない事業者に対する勧告制度も必要です。また国が作成する達成計画や地方公共団体の実行計画は、市民のチェックができるようにするとともに、達成計画・実行計画、具体的実施の策定、監視、評価等に対して国民の関与ができるようにします。

[2]環境税(炭素税)の導入
 地球温暖化対策を実効あるものとするためには、排出量取引や森林の吸収率算定などの柔軟措置(京都メカニズム)に依存するのではなく、工場の排出規制や自動車の排ガス規制など排出源対策の強化を図るべきです。そのためには環境税(炭素税)の導入が最も有効です。環境税とは、二酸化炭素を排出する行為に課税するものであり、それによって企業や消費者(マイカーの運転者等)に、二酸化炭素を排出する行為を回避させることを目的(経済的誘導効果)としています。社民党は現行石油税と同様、蔵出しの段階での課税を考えていますので、企業や消費者は購入時に環境税を負担することになります。

[3]交通体系の見直し
 自動車やトラックが主流となっている人や物品の輸送を鉄道や海運へ転換します。公共バスについては燃料電池化、ハイブリッド化を進めるほか、新しい路面電車LRT(軽快電車)に転換します。また都市部での交通量を抑制するため公共交通とマイカーの連携をスムーズにするパーク&ライドを普及します。さらに公共交通機関を充実し、人々がマイカーではなく公共交通を積極的に利用する施策(公共交通の方が経済的で利便性が高くなる施策)を進めます。
 ディーゼル車から排出されるNOxについては、尼崎、名古屋、東京の各公害訴訟判決を踏まえ、各自治体と連携を図りしながらディーゼル車の総量規制(走行量規制)を実施します。自動車NOx法の特定地域全体において、SPM(直径10マイクロメートルの微粒子・マイクロは100万分の1)の環境基準を達成しているのは、一般局(一般環境大気測定局)323局中109局(33.7%)、自排局(自動車排出ガス測定局)137局中17局(12.4%)、首都圏特定地域では自排局96局中3局(3.1%)。

[4]自動車関係諸税の見直し
 自動車重量税、自動車税、軽自動車税、自動車取得税などの自動車関係諸税の使途を見直し、環境対策、地方生活交通(バス・鉄道)の維持、低 公害車・低燃費車の開発・普及、森林整備等の財源に振り向けます。

2.有害化学物質、合成化学農薬を規制します

 予防原則を確立し、人の健康や生態系への影響を未然防止する観点から、化学物質についての管理、情報開示、規制等を徹底します。

(1)予防原則の徹底=PRTR法の早期改正

 新規化学物質や既存化学物質による環境汚染を防止するために、安全性の確認を行うことは当然ですが、その確認は簡単にできるものではなく長い時間を要します。ある化学物質が危険だと判明した時点で、製造や輸入を禁止したとしても、それでは手遅れです。国民の化学物質に対する不安もそこに起因しており、現時点で人の健康や生態系への影響が未解明でも、将来にわたって安心なのかという点にあります。何らかの異常が判明した時点で対処するやり方では被害の未然防止は図れません。残念ながら現行のPRTR法では、事業者の届出事項は「排出量と移動量」だけであり、対象物質も200から600と極めて限られています。したがって対象物質を拡大するとともに、事業者の届出事項に生産量、輸入量、使用量、受入量、引渡量、保有量を加え、予防原則を徹底することが必要です。また製品にどのような化学物質が使用されているのか消費者に理解できる表示を事業者に義務づけます。さらに非点源(家庭等からの廃棄物、排気ガス等)の排出量と移動量を推計し、化学物質の流れや状況がより正確に把握できるようにします。化学物質に関する知識を共有できるよう、企業・自治体・専門家・市民によるリスクコミュニケーションを確立します。

(2)既存化学物質の安全性の確認

 現在約2万種ある既存化学物質のうち、安全性点検が行われたのは、分解性・蓄積性関係で1377種、人の健康への長期毒性関係では246種にすぎません。この既存化学物質の安全性点検を早急に行います。

(3)生活環境における化学物質の規制

 生活環境の中で使用されることによって起こる化学物質の被害を未然に防止するため、「生活環境で使用する殺虫剤等の規制に関する法律」を市民とともに制定します。その中では次のことを明確にします。[1]予防原則を導入し、人の健康や生態系に被害を及ぼすおそれのある殺虫剤等は、因果関係が科学的に立証されなくとも排除するようにします。[2]生活環境で使用する薬剤は国の許可制とします。[3]事前評価と事後評価を導入し、製造メーカーに、毒性試験や環境影響評価を実施した結果を公開してパブリックコメントを求めるようにするとともに、販売(使用)開始後の再評価制度を設けます。[4]情報公開を徹底し、メーカーにあらゆるデータを開示させるとともに、製品に含有される成分名、含有量の表示を義務づけます。[5]被害者救済のため国・自治体に相談窓口を設置し、健康被害者のための医療機関を設けるとともに医療保険が適用できるようにします。
 なお非農耕地農薬(除草剤、害虫防止剤)に、農薬取締法を適用することによって乱用と被害拡大を防ぎます。また住宅地における農薬の使用はガーデニングも含めて規制します。景観維持のために行われる街路樹学校・公園などの樹木、草花への農薬散布も規制します。

3.廃棄物・リサイクル対策をすすめます

 リデュース(発生抑制)・リユース(再使用)・リサイクル(再利用)の優先順位を明確にするとともに拡大生産者責任を導入し、排出者責任を徹底します。また廃棄物の定義を見直し、占有者の主観的意志や有価・無価にかかわりなく、客観的に廃棄物を規定し不法投棄・不適正処理を防止します。また事業系一般廃棄物は産業廃棄物とて扱います。
 処理場、処分場建設にあたっては、情報公開を徹底して施設の運営や管理を透明にします。施設から排出される有害物質のデータなどの住民への開示を徹底するとともにデータの改ざん等を防止するために、施設から独立した第三者(学者・専門家・住民)の関与を義務づけます。また計画の決定過程を情報開示の対象とするとともに、施設建設計画への住民参加を保障します。

4.戦略的環境アセスメントを導入します

 すべての公共事業を対象に、計画段階から環境影響評価を実施できる戦略型環境アセスメント法を制定し、ダム建設や森林・海浜・河川・湿地などの開発を規制し環境破壊を防止します。また公共事業の決定過程を透明にするため市民参加を保障し、行政・企業の情報開示を義務づけます。さらに事業が進められている過程においても、市民参加によって事業がチェックできるようにします。いったん着手された事業であっても、環境への負荷が大きいと認められる場合にも、計画の変更や中止ができるようにします。完成後の厳しい環境影響調査も義務づけます。

5.野生生物保護法を制定します

 野生生物を保護するとともに野生生物の生息可能な環境を維持・保全・回復していくため野生生物保護法を制定し、保護指定地域における開発(森林・海浜・河川・湿地等の開発)を規制します。また合成化学農薬等の使用を規制します。日本に生息する野生生物種約3万種のうち、絶滅危惧種は動植物をあわせて2662種ですが、指定は57種にすぎません。日本に生息する野生生物(哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚 類、昆虫、植物等)の生息実態と生息環境を調査・把握し、絶滅危惧種の指定を大幅に拡大します。また日本固有の生態系を破壊する移入種の規制を行います。

6.環境行政に対する市民参加を確立し情報公開をすすめます

 環境行政を推進していくための基礎は、市民参加、行政・企業の情報開示です。公的部門、企業、市民運動、NPO、個人のすべてが環境保全のための企画の立案、実施、評価に参加できるシステムを確立します。また環境省の機能と権限を強化し、国の産業・経済政策を環境の観点からチェックできるようにします。

7.水基本法を制定します

 地球的規模での水環境保全の必要性と、水に関する法律との一本化を図るために水基本法を制定します。基本法では5省(環境、国交、厚労、農水、経産)に跨っている水行政を一元化するとともに、[1]水は国民の共有財産であること、[2]水にかかわる事業は行政・国民共有の財産であること、[3]水は共同域(河川流域)における管理が必要であること、[4]水事業および水管理にかかわる政策決定過程において住民参加を保障すること等を明確にします。