一九九八年一一月に採択された「国連・規約人権委員会」の最終見解第九項でも強く勧告されたように、日本の人権擁護制度は、人権侵害を調査し、申立に対して救済を与えるためのシステムを欠いています。現行の人権擁護委員制度は、こうした国際的な要件を満たしているとは言い難く、よって現行制度を抜本的に見直し、当局がその権限を濫用することなく個人の人権尊重を実際に保障できる、実効的な制度が必要です。そのために、人権侵害を受けた場合の救済機関として、新たに「中央人権委員会(仮称)」および都道府県に「地方人権委員会(仮称)」を設置します。人権擁護委員の職務とされている、自由人権思想の啓もう及び宣伝、民間における人権擁護運動の助長等については、内閣府に設置する「人権擁護推進会議(仮称)」に引き継ぐものとします。
この委員会では、個人もしくは集団からの人権侵害の申立を受理し、調査し、訴えられた側との調停、仲裁、勧告を行い、人権侵害を受けた側への救済措置を講ずるものとします。それでも解決に至らない場合が想定されるため、委員会において得た結論を付して裁判所に送付し、拘束力のある判決を求める仕組みも検討します。
・「中央人権委員会(仮称)」は、国内人権救済機関の国際的基準であるパリ原則にもあるように、全ての省庁から独立した第三者機関であること、立法や政策につき任意でなく強制力を持った調査・勧告権限があること、アクセスの容易なこと、とします。こうした機関は、人権の国際的保障を実現させるためにも非常に重要であり、また、拘禁施設内での証拠保全や簡易迅速な救済という観点からも必要性は高いと考えられます。
・「中央人権委員会(仮称)」は、「地方人権委員会(仮称)」において解決に至らなかった案件、訴えられた側の活動領域が複数の都道府県にまたがる場合、および訴えられた側が複数でその住所地が複数の都道府県にまたがる場合の人権侵害の申立を受理し、その解決を図るものとします。
・委員会の構成は、社会のあらゆる層から、選出するものとし、とくに人権問題に取り組むNGOや実際に人権侵害や差別を受けた当事者が参加するものとします。
・「地方人権委員会(仮称)」は、各都道府県単位に設置します。
・「地方人権委員会(仮称)」は、「中央人権委員会(仮称)」が扱う案件以外の人権侵害の申立を受理し、その解決を図るものとします。