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特集

【防衛専門商社】
「山田洋行」の内紛を追う -下-

人脈の源流は「金丸―小沢」ライン

社会新報2007.11.7号より


安保利権に蠢く国防族議員

「守屋─宮崎バッシング」の画一的なマスコミ記事が垂れ流されている。
その傍らで内紛後の利権分配でほくそ笑む者たちがいる。
日米安保利権の陰でうごめく三菱グループや国防族議員らである。
その源流には意外な人脈があった。




 元防衛庁防衛審議官の太田述正さんは、次のとおり正鵠(せいこく)を射たコメントを本紙に寄せた。

 「外国企業からの防衛装備の調達に商社が介在しているのは、“逆マネーロンダリング”目的です。つまり商社で、防衛省が国民から預かった税金というきれいなカネが汚いアングラマネーに変換され、その商社、防衛省、自民党系政治家、そして輸入元の外国企業の間で山分けされるわけです。商社から防衛省へのキックバックは、もっぱら防衛省OBの天下りの受け入れという形で行なわれます。これに比べれば、今話題になっている接待など金額的にはゴミみたいな話なのです」

 つまり、今世間を騒がせている守屋武昌前防衛次官と宮崎元伸山田洋行元専務の接待問題は、ほんのさわりの部分にすぎず大手商社や軍需メーカー、国防族議員、官僚の利権の巣はあまりにも巨大なのである。

 大手に負けず山田洋行と国防族議員の癒着の根も深い。

 山田グループのオーナー・山田正志氏は旧住友銀行(現三井住友銀行)頭取・巽外夫氏らを介して自民党の金丸信防衛庁長官(故人)と知遇を得たともいわれる。

 金丸氏の有力後援業者でもある「富士緑化株式会社」が抱えていた負債案件を山田グループが処理したことから両者の関係は深まったとみるジャーナリストもいる。


「日戦研」の流れ

 金丸氏らは1980年に防衛庁(当時)制服組のOBによる発言の場として「日本戦略研究センター」(以下、日戦研センター)を発足させた。

 日戦研センターは、防衛商戦の“陰の司令塔”と異名をとるほど利権に食い込む。山田洋行は日戦研センターの法人会員であった。90年代の役員には、自衛隊制服組OBの参院議員である、元陸上幕僚長の永野茂門氏(98年引退)が理事長、防衛大学校1期卒業で航空自衛隊出身の田村秀昭氏(07年引退)が副理事長、伊藤忠顧問・瀬島龍三氏が顧問、にそれぞれ就いていた。

 同じく防衛庁OBの宮崎元専務(93年から専務に就任)は田村議員と関係を深め、AWACS(空中警戒管制機)のエンジンのメーカーであるGE(ジェネラル・エレクトリック社)の代理店契約を山田洋行が取得することに成功した。

 以前は極東貿易がGEの代理店であったが、田村議員との絡みで山田洋行に代理店が変わったともいわれた。

 山田洋行は同業他社から羨望(せんぼう)が集まる中、小回りの利く営業により航空機商戦などでエンジンを中心に商権を次々と手中に収めていったのである。

 防衛庁装備部長なども歴任した田村氏が初めて参院比例代表で自民党から出馬したが、「真一会」という後援会をつくり、宮崎氏が幹事を務め物心両面で支援した。自民の比例名簿順位を上げることに成功し、当選を飾ったのである。

 金丸氏が東京佐川急便事件を契機として政界を失脚した92年を前後して、日戦研センターを引き継いだのが、当時の小沢一郎元自民党幹事長(現民主党代表)である。

 つまり、山田洋行の政界とのパイプの源流には、「金丸―小沢ライン」が存在している。もちろん、「小沢ライン」は古くもはや時効と言ってもよいかもしれない。

 日戦研センターの主導権が金丸氏から小沢氏に引き継がれ、その後、非自民連立の細川政権を発足するために小沢氏が自民党を離党し、新生党時代を経るや“開店休業”状態になった。ほどなくして日戦研センターは団体として清算し幕を閉じた。

 そうした状況下で永野氏らは99年にセンター顧問だった瀬島、田村両氏ら主要な人脈を呼び込んで「日本戦略研究フォーラム」(以下、日戦研フォーラム)を旗揚げした。


疑惑の社団法人

 日戦研センターが制服組OBを糾合する組織だったのに対して、日戦研フォーラムは安保学者ら幅広い分野から人を集めている。運営を制服組OBが担っている点では両団体とも共通している。小沢氏の側近・田村氏を軸にして山田洋行と密接なかかわりを持ってきた点でも両団体は共通している。

 山田洋行と小沢氏との関係は、小沢民主党代表の政治資金管理団体「陸山会」などが、判明しただけで95年以降600万円を受け取っていた(後に返金)ことにも表れている。

 もう1つの政界とのパイプは久間章生元防衛大臣らが所属する国防族議員集団「安全保障議員協議会」(以下、安保議員協)である。山田洋行の米津佳彦社長は外務省所管の社団法人「日米平和・文化交流協会」の理事を務め、同協会は、安保議員協と共催で日米安保戦略会議を開催している。両団体は定例のゴルフコンペも開いている。

 安保議員協は、憲法が禁じている集団的自衛権の行使の容認などを声高に主張して99年に発足した。自民、公明、民主各党などの国防族議員が参加している。現在の役員構成では、自民党からは瓦力元防衛庁長官が会長、久間章生前防衛大臣と額賀福志郎元防衛庁長官が副会長、公明党からは佐藤茂樹衆院議員が事務総長、民主党からは前原誠司衆院議員が常任理事、をそれぞれ務めている。

 日米平和・文化交流協会の専務理事で、安保議員協の事務局長を務める秋山直紀氏が今回の山田洋行と日本ミライズとの内紛で山田洋行側に立って「宮崎たたき」で動いたという話もある。

 宮崎元専務は「秋山さんに頼まれて久間議員や玉沢議員のパーティー券を付き合いで買った。戦略会議の協賛金として毎回数十万円を支払った」と語った。国防族議員や防衛省幹部が訪米する際には山田洋行の現地駐在員らが事細かく面倒を見ていた、との話もあり、今春の訪米団に山田洋行社員が同行もした。

 また、業界関係者からは「洋行のA現執行役員がB議員に多額の資金を渡し支援を要請した」との話も漏れ伝わる。防衛庁長官経験者のB議員は取材に対し否定した。

 さらに安保議員協元メンバーの東祥三元衆院議員(公明党を皮切りに自由党を経て現在は民主党)が山田洋行の顧問に長年就任していたのも、小沢―田村ラインの紹介だった。13人の防衛庁OBが山田洋行に在籍(06年4月時点)。


┃報道接待疑惑も ※1(以下の記事、削除・訂正いたします。)

 「山田洋行に頼まれた探偵社が撮った写真を1面トップ記事に載せる大手紙にはあきれ果てます」

 宮崎元専務は10月30日、日本ミライズ本社で本紙の取材に対し憔悴(しょうすい)し切った表情で語った。

 宮崎社長が指摘したのは10月20日付朝日新聞1面トップの「守屋前次官 軍需業者支援で口利き 都内で会合、不調に」との見出しの記事。

 そこに掲載された写真が実は係争中の一方の山田洋行側に依頼された探偵社が宮崎氏を尾行して撮影したもので“やらせ報道”だと主張する。記事内容に関しても宮崎氏は「守屋前次官はあのすし屋には同席していません」と「口利き」の事実関係を否定した。

 なぜ朝日はそこまでしてスクープ取りを焦ったのか。

 「PCI記事で“特落ち”(1社だけ掲載されないこと)があり、挽回(ばんかい)を狙ったのでは」とみるマスコミ関係者もいる。

  こうしたマスコミを陰で巧みに操る、山田洋行による広報戦略の司令塔が存在する。

 (株)広報室21(菅野馨介社長)である。同社の所在地は山田グループが所有するビル内にある。菅野氏は読売新聞元記者で警視庁クラブキャップや編集委員を務め、四方洋元毎日新聞編集委員ら多彩なマスコミ人脈を持つ。

 その広報戦略に汚点ともいうべき「マスコミゴルフ接待」疑惑を指摘する向きもある。ジャーナリストの山岡俊介さんは、「マスコミ記者6人(NHK2人、朝日新聞1人、週刊朝日1人、毎日新聞1人、フジテレビ1人)が10月13日、14日の1泊2日の取材を兼ねたゴルフ旅行を山田洋行から招待され、接待を受けたという情報もある」と指摘する。

 各社とも接待を否定しているが、疑惑はくすぶり続ける。激しい情報戦の中で追及する側に水を差すような疑惑であることもまた事実である。

※1【訂正】
上記11月7日号「防衛専門商社『山田洋行』の内紛を追う-下-」の記事中、「※1」の見出し以下、削除し訂正します。訂正前の記事は、宮崎元伸山田洋行元専務や同社関係者、複数のジャーナリストの証言を基に作成しましたが、誤りがありましたので削除して訂正し、関係者におわび致します。

(07.11.08PM15:40UP)

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