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特集

【防衛専門商社】
「山田洋行」の内紛を追う -上-

山田一族の不動産乱脈投資が背景

社会新報2007.10.24号より


防衛専門商社「山田洋行」と同社から独立した「日本ミライズ」との間で
合計7件の裁判が進行中だ。

千億円ともいわれる航空自衛隊次期輸送機CXの新型エンジンの商権をめぐる争いでもある。
国家機密に触れかねない内紛劇を報告する。




 「株式会社山田洋行」

 山田正志氏がオーナーとして率いる山田グループの一翼として、1969年に設立された防衛専門商社である。防衛省が指定するA級競争入札業者でもある。

 信用調査会社によれば2006年12月時点で資本金5億円、従業員120人。非上場の企業で、06年3月期決算で売り上げが約340億円、利益が9億8000万円。業種別の売上高では970社中、5位にランクされる。本社は港区六本木にあり、米津佳彦氏が現在の社長を務めている。

 早期警戒機E―2Cや多用途戦術ミサイルATACMSや航空自衛隊次期輸送機CXのエンジン(GE=米ゼネラル・エレクトリックの製品)などの調達代理店として実績を持つ。

 米津社長は、本紙でも何度か追及してきた外務省所管の社団法人日米平和・文化交流協会(旧称・日米文化振興会、会長・瓦力元防衛庁長官、専務理事・秋山直紀)の理事を務めている。山田洋行は憲法が禁じている集団的自衛権の行使を声高に主張してきた国防族議員集団「安全保障議員協議会」と同振興会などが主催する日米安保戦略会議の協賛企業でもある。

 一方、日本ミライズ(本社・港区赤坂、宮崎元伸社長)は、06年に山田洋行から離職した社員数十人で独立・発足した。山田洋行の専務だったベテランの宮崎社長が率いる新興の防衛専門商社だ。宮崎社長は守屋武昌前事務次官など防衛省幹部や田村秀昭参院議員らと長年にわたり奥深いパイプを築いてきた実力者。それだけに「接待」疑惑などを指摘する向きもある。


負債113億円

 この山田洋行VS日本ミライズの内紛と訴訟合戦がなぜ起こったのか。

 山田洋行の元代表取締役社長・山田氏は長年、東京相和銀行(99年破たん、現・東京スター銀行)のオーナー・長田庄一氏と極めて近い関係であり、また、西川善文前三井住友銀行頭取とは昵懇(じっこん)の仲でもある。

 山田洋行の発行株式100万株のうち99%以上をオーナーとその息子・真嗣氏ら山田一族が握っている。正志氏は形式上は代表取締役だが、年に4、5回しか同社に出社せず、実質的な経営はほとんど専務の宮崎氏が担ってきた。正志氏は山田洋行以外に17社の会社を経営し、弥生不動産や山田地建といった主に不動産業を営んできた。西川、長田両氏らとの絡みの中でバブル時代の不動産投資による巨額の負債が積もり、グループ企業の山田地建や弥生不動産などの負債総額は実に113億2700万円余りに膨らんだ。この113億円を超える負債は、融資元の東京相和銀行の破たんにより不良債権処理を行なう「整理回収機構」(RCC)に移行された。04年3月4日、山田グループとRCCとが弁済調停で和解した。

 その和解内容は、113億2700万円余りの債務のうち、和解直後に37億円を支払い、残りの76億数千万円のうち30億円を2016年9月までに毎月千数百万円ずつ分割払いする。そして残金の46億円をRCCが放棄するという内容だ。

 巨額の資産隠しとRCCの債務放棄を疑問視する声も一部でささやかれた。

 一括返済分の37億円の返済のために山田一族側は堅実な経営を続けてきた山田洋行を犠牲にすることになり、対立は激化した。

 06年10月30日、山田洋行は日本ミライズと同社の宮崎社長や秋山収常務ら幹部13人を相手取り、10億円の損害賠償請求訴訟(2006年〔ワ〕24045号)を東京地裁に起こした。その後、5億円の損害賠償や退職金返還裁判など合計7件(うち1件はミライズ社員による提訴)の裁判が争われるという泥仕合となった。


宮崎氏らが決別

 10億円賠償を求めた訴状によれば、被告・宮崎氏らが百数十人足らずの山田洋行から28人もの職員を日本ミライズに「計画的に引き抜いた」行為を「極めて背信性が高い」と批判した。そして、「自由競争の範囲を逸脱した違法・不当な方法によって取引先を奪取しようとした」と厳しく非難した。さらに宮崎氏らが「誹謗(ひぼう)中傷、虚偽情報の流布」などによる競業行為や仕入れ先との契約書偽造を行なったと指摘。当時の事情について同社の広報担当である野村裕幸社長室長に取材を何度も申し込んだが、なしのつぶてで無視し続けている。

 山田洋行の訴えに対して日本ミライズは07年4月24日付の準備書面で厳しく反論した。事件の背景には先ほど触れたようにオーナー・正志氏およびグループの不動産事業による巨額の債務整理問題があったことを前置きした。山田一族による理不尽な経営について、RCCへの債務返済のために31億円余りの高額配当を強行し、4億円の貸し付けを宮崎氏らに要求し、正志社長が突然辞任したこと、さらに山田洋行の株式を三井住友銀行に担保として提供しただけにとどまらず、第三者に売却を指示し、数社のファンド会社と交渉したこと、などを挙げた。

 宮崎氏側は、商権を確保し、従業員の生活を守るためにMBO(経営陣による企業買収)を提案した。これは当然の成り行きであり、本紙の取材に対して宮崎社長は「MBOによって経営権を奪取する意図はまったくなかった」と強調した。そして、従業員らにMBOを求める決意表明書への署名を強要したことはない、と訴えた。従業員の移籍は、山田洋行の今後に不安を抱いた結果であり、「自主的な退職であり、引き抜きはしていない」と全面的に「引き抜き行為」を否定した。

  堅実な経営を37年間も営々として続け、蓄積してきた利益剰余金のうち所有株価の600%に値する31億円もの異常な配当金をさらってしまったのだから、宮崎氏らの怒りも十分理解できよう。


政官界へ波及か

 ところで、司直の手が近く入るのではないかといわれる中で、「ヤメ検」が東京地検特捜部に話を持ち込んだのではとみる関係者もいる。山田洋行の顧問弁護士・豊嶋秀直氏は、検事出身者のいわゆる「ヤメ検」。公安調査庁長官や福岡高検検事長を歴任した人物である。また10億円賠償訴訟の代理人である弘中徹弁護士と同じ事務所にヤメ検で法務事務次官や検事総長を務めた原田明夫弁護士が在籍している。本人らは関与を否定しているが、ヤメ検の存在がさまざまな憶測を呼んでいるのもまた事実である。

 捜査の行方次第では防衛省幹部や久間章生元防衛大臣ら国防族議員らに火の粉が及びかねない一触即発の様相を呈している。(つづく)

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