Q3
盗聴法の影響は、一般市民に及ぶのでしょうか?
また報道機関への影響はありますか?

A 政府は、盗聴捜査の対象となるのは暴力団や犯罪組織で、普通の生活をしている一般市民とは無関係だと説明していますが、実は違います。例えば、薬物犯罪の容疑がかけられたAさんが、30日間盗聴されたとします。Aさんの恋人や友人との会話が聞かれることは言うまでありませんが、Aさんの家族にかかってきた電話もまずは盗聴されます。そこには「金銭・財産の話」「企業秘密」「健康上の悩み」など他人に聞かれたくないプライベートな話が多々含まれています。そういう話は、警察官が自主的にスイッチを切るから心配ないというのが法務省の説明です。けれども、これを誰もチェックできません。そして、Aさん宅の盗聴は「成果なし」に終わったとします。しかし、Aさんには無断で「Aさん宅盗聴録音テープ」は5年間、裁判所に保管されます。通知が行かないのでAさんはプライバシーの侵害に気づかないという仕組みです。アメリカ政府のデータによれば、盗聴捜査のうち83%は「犯罪と無関係な盗聴」だったと言います。ジャーナリズムは、盗聴によって「取材源の秘匿」を侵される心配が十分にあります。盗聴法15条は、医師・看護婦・弁護士・宗教職の業務上の通信を盗聴することを禁止していますが、ジャーナリストは除外しています。ジャーナリストなら犯罪組織か、その疑いのあるグループを取材することもありますが、そのやりとりも盗聴される恐れがあります。

 また例えば、薬物犯罪を疑われたX新聞社のB記者のいる社会部のデスクが、10数台の電話機があるビジネスフォンとなっていて、どの電話を彼が取るのか特定できない場合は、10数台すべてが盗聴の対象となります。報道機関には行政や企業内の内部告発も多数寄せられます。盗聴法は報道機関を萎縮させ変質させるのは間違いありません。