トピックスfrom社会新報

参特別委論戦 「軍事力」を政策カードとする国へ

社会新報 主張

参院平和安全特別委では戦争法案をめぐる論戦が連日続いている。礒崎首相補佐官の「法的安定性は関係ない」発言への追及は序盤戦のハイライトとなったが、形の上では撤回しようが、これが安倍政権の本音であることは7・1閣議決定に基づく法案全体が物語っていることであり、それは個々の答弁にも表れている。

[つづき→参特別委論戦 「軍事力」を政策カードとする国へ]

(社会新報2015年8月19日号・主張より)

武器使用に一切制限示さず

吉田忠智

戦争法案(安保関連法案)をめぐり連日の熱い論戦が続く参院平和安全特別委員会。社民党から3日に吉田忠智党首、4日に福島みずほ議員(副党首)、5日に又市征治幹事長が質問に立ち、政府を追及した。

米軍武器防護の武器使用 吉田党首の質問に中谷防衛相

吉田党首は、「武力攻撃に至らない侵害への対処」として自衛隊法改正案に盛り込まれた米軍等の武器防護のための自衛隊による武器使用について、防護の対象国や判断時期、武器使用基準などについて質問したが、中谷元防衛相は具体的要件を一切示さなかった。吉田党首は「武器防護は、侵害以前の他国の要請で大臣が許可でき、武器使用は現場指揮官の判断」と指摘し、「実質的な集団的自衛権行使につながる可能性がある」と強い懸念を示した。

吉田党首が「武力攻撃に至らない侵害とは何か」とただしたのに対し、中谷防衛相は質問に直接答えないまま、「現にわが国の防衛に資する活動に用いられているのであれば、わが国の防衛力を構成する重要な物的手段に相当すると評価」と述べ、平時からの軍事的一体化を正当化した。

吉田党首は、①米軍以外の防護対象はどこか②防衛相の判断はいつ行なうのか③「資する活動」とは(衆院審議で示した)重要影響事態での輸送・補給、(弾道ミサイル警戒を含む)共同の情報収集・警戒監視活動、共同訓練に限定されるのか  と質問。これに対し防衛相は①防衛分野でわが国と密接な関係にある国はおのずと限られるが、あらかじめ言うことは困難。個別具体的に判断する②個別具体的に判断する③3つに限定されない――とし、何一つ明確にはしなかった。

吉田党首は「使用できる武器の範囲はどの程度のものか」と質問。防衛相は、「警察比例の原則に基づく」としつつ、「武器の使用においては特に制限を加えた規定はない」と認めた。

(社会新報2015年8月19日号)

ミサイルは「弾薬」で提供可

福島みずほ米軍などへの後方支援 福島副党首の質問に防衛相

福島議員は、後方支援で武器は提供できないが「消耗品」である弾薬は提供できるとの政府の見解について、劣化ウラン弾やクラスター爆弾、さらにミサイルは「弾薬か」と追及。中谷防衛相は「弾薬に当たると整理できる」と答弁し、提供可能だと認めた。その上で政府側は、劣化ウラン弾やクラスター爆弾は所有していない(安倍晋三首相)、日米ACSA(物品役務相互提供協定)あるいは重要影響事態の下でミサイル提供は想定していない(防衛相)――と付け加えた。

福島議員が、米国などへのサイバー攻撃に対して集団的自衛権を行使し武力を用いることはあるかとただしたのに対し、防衛相は「武力攻撃の一環として行なわれたサイバー攻撃に対して武力を行使して対処することも法理としては考えられる」と答え、全ては政府の総合的判断次第だとした。

福島議員はまた、米国のベトナム戦争やソ連のアフガン侵攻など国連安保理に報告された集団的自衛権の行使事例として政府が認めている14事例について「この中に正しい戦争はあるか」と端的に質問。

安倍首相は「国際法上、戦争は違法」と述べ、集団的自衛権行使は国連憲章の下で違法とされる「戦争」ではないとの認識を強調した上で、日本の集団的自衛権行使について「フルに使える他国とは明確に違う」と聞かれていないことに言及し、その限定的行使を正当化した。

(社会新報2015年8月19日号)

「自衛隊員は安全」政府の願望

後方支援拡大のリスク 又市幹事長が厳しく追及

又市幹事長又市幹事長は、「現に戦闘が行なわれている現場」以外への後方支援の拡大について「より戦場に近づくことになる。複雑に展開する戦場では、今は戦闘行為が行なわれていなくても、いつ戦場が広がるか予想もつかないのが現実」と述べた上で、戦闘現場と非戦闘現場の線引きをどのように行なうのかと質問。

中谷防衛相は実施区域について「自衛隊が現実に活動を行なう期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を指定する」と答え、「安全が確保されない限りは自衛隊による後方支援は行なわない。従ってリスクが高まるということにはならない」と断言した。

又市幹事長は「そのとき(イラク派遣時)以上に自衛隊の活動を戦闘現場に近づけておいてリスクは高まらないと言うのは理屈で言っているのにすぎないのであって全くの欺まん。あなた方の願望を述べているにすぎない」と突き放した。

さらに又市幹事長は、日本が攻撃されていないのに集団的自衛権を行使することは、相手国からすれば日本が交戦国になったということであり、原発や在日米軍、自衛隊の基地がミサイル攻撃の対象となる可能性があるとし、「国民はそのことも覚悟すべきだということか」と追及。

防衛相は、存立危機事態とは武力で対処しなければわが国が武力攻撃を受けたのと同様の深刻重大な被害が生じることが明らかな状況だとし、「すでに国民の平和な暮らしが深刻なリスクにさらされている」と開き直った。又市幹事長は「まともに答えていない」と指摘した。

(社会新報2015年8月19日号)

礒崎首相補佐官は更迭しかない

「日曜討論」で福島党■「日曜討論」で福島副党首

与野党10党の参院平和安全特別委員が2日、NHK番組「日曜討論」に出演し、戦争法案について議論した。社民党からは福島みずほ議員が出席。「法的安定性は関係ない」と発言した礒崎陽輔首相補佐官について「更迭しかない」とし、「法的安定性を誰が壊しているのか。それは安倍内閣そのものだ」と糾弾した。

この問題で自民・佐藤正久議員は「法理論上はいろいろ曖昧な部分があったとしても」と述べ、法的安定性を確保する上で法案に問題があることを認めた上で、武力行使の新3要件が歯止めになっていると強弁。「国会答弁の総理の発言が100%ではないが限定していく」と開き直った。

(社会新報2015年8月19日号)

村山談話の否定は許せない

村山富市・佐高信

党全国連合が村山富市元首相招き集会

社民党は3日、東京・憲政記念館で「―戦争による平和はありえない―『村山談話と戦後70年』」と銘打った集会を開き、約400人が参加した。村山富市元首相(社民党名誉党首)の講演、村山元首相と評論家の佐高信さんとの対談が行なわれた。最後に、「『安倍談話』が歴史を改ざんし、『戦争できる国』に向かおうとしているとの懸念が広がっている」と指摘した上で、「平和の危機だからこそ、私たちはいま一度、平和国家としての歩みをあらためて宣言した『村山談話』の意義を再認識する必要がある」と呼びかける集会アピールを採択した。

学ぶことが大切

講演と対談で村山元首相は、95年村山首相談話の「植民地支配と侵略」「反省とおわび」のキーワードを引き継がないとする安倍首相の姿勢について「自分の個人的な意思を通すためにそんなことは許されない」と批判。「ある意味では(首相は)反面教師。全然知らなかった人たちが、村山談話とは何なのかと学ぶ。学ぶということは、過去の歴史が続いている、過ちは繰り返してはならない、と(なる)」と、村山談話の現代的な意義を強調した。

村山談話をめぐる状況について村山元首相は「なぜ村山談話が今ごろになって世間の話題になってきたかというと、安倍さんの責任。安倍さんがつまらぬことを言うから」と発言。安倍首相が当初、「村山談話の全体を継承しているわけではない」「侵略の定義は国際的にも定まっていない」と述べ、内外からの批判を受けると、「歴代内閣の歴史認識を全体として引き継いでいく」との曖昧な態度に転じたことについて「自分がおしゃべりで言い過ぎたことにより収拾がつかなくなっている。だけど彼の信念は変わらない」とした。

戦争法案について村山元首相は「70年間誓いを守って戦争はしない、できないとしてきた。それを自分の信条で国民全体を引きずり込もうとしている。独善的、横暴な政治は許せない」と断罪。

その上で、幅広い国民各層が主権者としての意識に目覚め反対運動に立ち上がっているとして、「これは防げる。今度は違う」と参加者を鼓舞した。

(社会新報2015年8月19日号)

「正社員の道開く」法案のどこにある

■派遣法で福島副党首 労働者派遣法改正案の参院実質審議が7月30日の厚生労働委員会で始まり、社民党から福島みずほ議員が同日と8月4日、質問に立った。

改正案について安倍首相らが「派遣労働者に正社員への道を開く」と答弁してきたことについて、福島議員は「法案のどこに書いてあるのか」と再三追及。

これに対し塩崎恭久厚労相は「最終的にどういう雇用形態をとって働く人々を雇うかは経営判断。どういう雇用形態かということを私企業に対して政府が保障する筋合いのものではない」と言い放ち、果たして本当に正社員が増えるのかどうかについても「さまざまな要因があって、一つの方向でこうだということは事前には難しい」と言葉を濁した。

福島議員は「常用代替防止の派遣法の根幹が壊れる」と指摘した(7月30日)。

(社会新報2015年8月19日号)

連合が重点政策要請

連合が重点政策要請 連合の神津里季生事務局長らは6日、衆院議員会館で社民党の又市征治幹事長らと会い、2016年度の連合重点政策に関する要請を行なった。党側から吉川元政審会長らが同席した。

現下の政治情勢について神津事務局長は、安保関連法案と労働法制改悪案の2つに触れ「いずれも上から目線で歯止めが効かない。国民の命と暮らしに関わる2つのかたまりは看過できない」との見解を示した。

これを受け又市幹事長は、「立憲主義を踏みにじる」という安倍政権への批判では連合と党の認識は一致できると応じた。

(社会新報2015年8月19日号)

△ページTOP