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「嫌韓報道」をファクト・チェックする

「希望連帯」がスタート集会・訪韓報告
テレビ、新聞、雑誌など対象

市民団体「日韓市民交流を進める希望連帯」(白石孝代表)が8月27日、衆院議員会館で嫌韓報道のファクト・チェック(事実確認)スタート集会と訪韓報告会を開き、約60人が参加した。会場には、「日本メディアは偏り、煽(あお)るのではなく真実の報道を!」と書いた横断幕が掲げられた。

日韓市民交流を進める希望連帯

白石代表は「21日にソウル市庁で朴元淳市長と面会した際、韓国のメディア30社が取材に来ていたが、在ソウルの日本メディアで取材に来たのは北海道新聞1社だけだった。日本のメディアが毎日、垂れ流す情報は、徹底して韓国を悪者にし続けている。日本の空気を見ていると正直言って私は日本にもういたくない」と怒りを表明し、「嫌韓報道」を厳しく批判した。

その上で、「嫌韓報道」をファクト・チェックする運動について「これは人権の闘いです」と強調し、運動への参加を呼びかけた。

ファクト・チェックの対象は7月以降のテレビ番組、新聞、雑誌など。問題ありと分析した記事や番組についてメディアに質問状を送り、回答を公表する。

社民党の福島みずほ副代表も集会に参加し、「日韓関係が大変厳しい状況下で、日本のNGOが訪韓してソウル市長と会い、大きく報道された。市民交流の素晴らしいメッセージとなった」と希望連帯による訪韓の成果に敬意を表した。さらに「中国人強制連行の西松建設裁判で、2007年の最高裁判決は被害者救済に向けた関係者の自発的な和解を促し、実際に西松建設が被害者に対する謝罪と賠償を行なった。韓国の徴用工問題でも、大法院判決を踏まえて、日韓両政府と企業が知恵を出し合って基金を作るなどして、被害者救済を図るべきではないか」と指摘した。

集会では、文在寅政権をバッシングするコメンテーターとしてTVに登場している武藤正敏元駐韓国日本大使の経歴紹介への疑問が出された。TV番組では、武藤氏の経歴は「外務省入省、北東アジア課長、在韓日本大使、『文在寅という災厄』の著者」と紹介されている。ところが重要な情報が抜け落ちている。武藤氏は外務省を退職した後の2013~17年、三菱重工業の顧問を務めていた。同社は韓国の元徴用工裁判の被告企業だ。つまり、武藤氏は徴用工裁判の利害当事者なのだ。その経歴を隠し、中立公平な元大使を装うことは、放送倫理基本綱領に抵触する可能性がある。

集会後、参加者たちは総がかり行動実行委と「3・1朝鮮独立運動100周年キャンペーン」が共催する、対韓経済報復に抗議する官邸前緊急行動に合流した。同行動には350人が参加。韓国からも「安倍糾弾市民行動」などが参加し、日韓関係の悪化をあおる安倍政権を厳しく批判した。

(社会新報2019年9月18日号より)

韓国は「敵」なのか 輸出規制を撤回し日韓関係改善を

「声明の会」 日韓連帯緊急集会

日韓連帯緊急集会

(写真左から:内田雅敏さん、羽場久美子さん、和田春樹さん、クォン・ヨンソクさん)

日韓関係が悪化する中、東京都千代田区で8月31日、緊急集会「韓国は『敵』なのか」が行なわれた。会場は約300人の参加者であふれかえり、韓国の報道関係者も多数つめかけた。主催は、「韓国は『敵』なのか」声明の会。

昨年10月、韓国の大法院(最高裁判所)は、日本企業を被告とした「徴用工」損害賠償請求事件の上告審で、日韓基本条約(メモ参照)と日韓請求権協定(同)を考慮しても「個人の請求権は消滅していない」とし、被告企業に賠償を命じる判決を下した。

これに対し、安倍晋三内閣は報復の意図を公言し、安全保障上の輸出管理を優遇する「ホワイト国」から韓国を除外するなどした。

日本政府のこの動きに対し、韓国政府は猛反発し、日韓軍事情報包括保護協定(日韓GSOMIA)の破棄を日本政府に通告した。

「相手とせず」の傲慢

緊急集会で、弁護士の内田雅敏さんは、前述の韓国大法院判決を解説し、その意味を語った。

判決の骨子は、①日本による朝鮮植民地支配は合法的なものではなかった②日韓請求権協定には植民地支配に基づく強制労働の慰謝料請求権の問題は入っていなかった③同協定で放棄されたのは国家の外交保護権であり、個人の請求権は放棄されていない というものだ。

内田さんは②③について、「日本政府の従来からの見解そのものだ」と語った。外務省の条約局長は1990年代に入っても、「『放棄』は外交保護権であり、個人の権利は放棄されていない」旨を国会で答弁してきたという。

内田さんは「日本政府はこうしたことを国民に知らせないまま、『(韓国政府の言動は)国家間の合意に反する』などと言い放っている」と批判した。

東京大学名誉教授(現代朝鮮研究など)の和田春樹さんは、今年1月の国会施政方針演説で安倍首相が中国やロシアや北朝鮮に触れながらも、韓国については一言も触れなかったことを問題視した。

「韓国を『相手とせず』の態度だ。日本が日中戦争に入り込んだ時、近衛文麿首相が中国国民党に向けて放った『爾後(じご)国民政府を相手とせず』の言葉を思い出す」

実際、6月末に開催されたG20大阪サミットで安倍首相は文在寅大統領を無視し、会談さえ行なわなかった。

日本国内から「韓国との関係改善に注力するより、米国との同盟関係をより強固にすることを優先すべき」との声も聞こえてくる。しかし、和田さんはこうした意見に対し、「そんな方向に進んでいけば、日本の未来は暗くなり、平和国家も消えてしまうだろう」と厳しく批判する。

日韓対立と米の意図

慶応義塾大学名誉教授(経済学)の金子勝さんは、日本政府が「韓国政府の日韓GSOMIA破棄は、安全保障の問題と別の問題を結びつける暴挙」という旨の発言をしたことを取り上げ、「もともと、徴用工問題を安全保障関連の輸出管理問題と結びつけたのは日本だ」と日本政府を批判した。

青山学院大学の羽場久美子教授(国際政治学)は、日本は近隣諸国のほとんどと良い関係にない中で、「唯一の同盟国だった韓国との良好な関係が、いま崩れようとしている。極めて危ういことだ」と語った。

そして、「今、中国や韓国を含めて、東アジアで何か(紛争のようなこと)が起こることが、欧米とくに米国の利益になることを、考えておいた方がいい」と語った。米トランプ政権の露骨な「自国生き延び」政策の意図を見極める必要があるという。

「私たちは『東アジアで戦争をさせない』ということを本気で考えないと、とても危ないことになる」

そう警鐘を鳴らした。

一橋大学のクォン・ヨンソク準教授(東アジア国際関係史)は、「韓国では今、第2の独立運動が闘われている」と語った。

韓国の多くの若者は今、「親韓半島体制」を実現しようとしているという。米国の敷いた朝鮮半島分断体制の延長線上にGSOMIAがあり、THAAD(米国運用の巡航ミサイル迎撃システム)受け入れがあるとの認識だ。

それなのに、歴史修正(偽造)主義と不当な経済政策を推し進める安倍政権を米国が支持し続けるため、「日米がアジアを仕切り、韓国は従属化する」との危機感を強めているのだという。

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 【日韓基本条約、日韓請求権協定】=日韓基本条約は1965年に締結。当時の韓国は、朴正煕軍事独裁政権。日本が1910年に大韓帝国を併合する以前に締結された条約や協定は「もはや無効であること」などを確認。
日韓請求権協定も同時に締結された。両国とその国民の間の請求権に関して、完全かつ最終的に解決されたことなどを確認。これに伴い、日本は韓国に対し、3億米㌦の無償供与と、2億米㌦の長期低利貸付を行なうことを決めた。

(社会新報2019年9月18日号より)

内閣改造 「お友達極右改憲内閣」と対決しよう

9月11日、第4次安倍再改造内閣が発足した。「安定」と「挑戦」がスローガンだが、「友達重視」と「在庫一掃」の起用であり、全く期待できない。首相が悲願とする改憲に向け、タカ派・極右色が一層強まっている。求められているのは、改造ではなく退陣である。

公文書改ざんの責任を取らず、失言や暴言を繰り返す麻生太郎副総理兼財務相の続投、日米貿易交渉で米国に有利になるよう押し切られた茂木敏充氏の外相への「栄転」、嫌韓パフォーマンスで日韓関係を戦後最悪レベルにまでこじれさせた河野太郎外相の防衛相への起用は、全く理解できない。

加計学園のグループ校で客員教授を務め、首相側近として文科省に圧力をかけた疑惑の中心人物である萩生田光一氏の文科相はブラック・ジョークだ。歴史修正主義の立場から教科書に圧力をかけ、教育勅語を信奉する萩生田氏による教育右傾化には、警戒を強めなければならない。加藤勝信氏も、年金をはじめとする社会保障制度について「ご飯論法」で国会審議を欺くことが期待されている。ネット上で大規模なステマを行なう「自民党ネットサポーターズクラブ」を率いた菅原一秀経産相は、かつて元愛人からモラハラ被害を告発され、「女性活躍」に反する。復興相となった田中和徳氏をはじめ、反社会的勢力との関係が指摘されたことがある閣僚も起用された。「タマネギ男」だらけの、国民にとってお先真っ暗な「ブラック内閣」である。

環境相に抜てきされた小泉進次郞氏は、安倍暴走政治の「イチジクの葉」の役回りどころか、新自由主義的農林水産行政や社会保障の負担増・給付カットなど、暴走政治を進めてきた。「原発をどうやったら残せるのかではなく、どうやったらなくせるのか」との発言を貫けるのか。

こうした閣僚の資質をきちんとただしていくとともに、消費税増税と軽減税率やポイント還元をめぐる混乱、一連の台風被害対策、日米貿易交渉、日韓・日ロ外交、ホルムズ海峡等をめぐる「有志連合」参加問題、年金財政検証結果、全世代型社会保障改革はじめ、論議すべき課題は山積している。安倍改憲を断念させ退陣に追い込むとともに、そのたたかいの中で社民党の存在感を示し党の再建・再生につなげていかなければならない。お友達極右改憲内閣との対決に全力を挙げよう。

(社会新報2019年9月18日号・主張より)

表現の自由に公権力が介入

望月衣塑子さんインタビュー 「表現の不自由展・その後」展示中止問題を考える

戦時性暴力の本質問う展示の再開を

望月衣塑子――愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で中止になった企画展「表現の不自由展・その後」についてどう感じるか。

望月衣塑子・東京新聞社会部記者 出品された慰安婦を象徴する「平和の少女像」について、直近では神奈川県の黒岩祐治知事が8月27日、「税金を使って後押しするのは、表現の自由より、政治的メッセージを後押しすることになる。県民の理解を得られない」とまで言及。表現の自由(メモ参照)に対して公権力が介入するような発言が続いた。

官房長官が補助金介入

菅義偉官房長官も補助金交付の可否決定に関する私の質問に対して、「税金の使途に関して詳細に調査・検証したい」と2回も答弁。公権力介入への自己抑制、歯止めのようなものがなくなっていることに危機感を覚えた。

トリエンナーレには、脅迫のメールや電話・FAXが5700本近く、主催者側に寄せられ、開催から3日で中止に追い込まれた。以前、実行委員の岡本有桂さんらが展示をやった時も大変な抗議があったので、それなりの覚悟を持って準備はしたものの、「ガソリン」テロ予告などがあり、結果的に、主催者は言論弾圧に屈してしまった。

近年、9条俳句が公民館だよりに掲載できなくなる事件などがあり、言論と表現の自由が脅かされる息苦しい状況となっている。

「表現の不自由展・その後」は、公共の文化施設で「タブー」とされがちな作品がいかにして「排除」されたのか、その表現の不自由さを伝えるための展示、というコンセプトだった。橋下徹元大阪府知事は「平和の少女像」とは正反対の主張の作品を両論併記で展示にすれば良かったと指摘していたが、展示のコンセプトを理解していないといえまいか。

私自身の話で言えば、官房長官会見に出始めたころ、2本の脅迫電話が東京新聞の本社に入り、会社から「身の危険があるので、出ないでほしい」と止められ、しばらく会見に出られなくなった。今回の5700本に比べれば、たった2本の脅迫電話だった。私の場合よりも数千倍もの脅迫が続いたわけだから、想像を絶する大変さだったと思う。私も会社側にいろいろ説明しながら徐々に講演に出させてもらうようになった。あいちトリエンナーレでは、もう一度、本来伝えようとした展示を再開してほしい。

「少女像」の本質をみて

――元日本軍「慰安婦」を題材とした「平和の少女像」に関してはどう思うか。

望月 制作した彫刻家のキム・ソギョンさんとキム・ウンソンさん夫妻は、ベトナム戦争で韓国軍によって虐げられた「親子の像」も制作している。国籍や政治的イシューと切り離し、戦時下に最も苦しめられた人たちを表現しようとしたものだ。国家とか政治を超え、戦時性暴力によって苦しめられ、声を上げられなかった人々の声なき声を伝えようとしている。

シリアなど中東の紛争地では、現在も多くの子どもたちが日々、政府側の空爆で死傷している。あの像が問いかけている、現在に通じるもっと本質的な問いかけを見るべきではないだろうか。

現在、元記者による性的暴行を訴えたジャーナリストの伊藤詩織さんをはじめとして、「#MeToo」「#WeToo」の運動が起きている。自分の身の周りに起きたパワハラ、セクハラを告発し、女性たちが声を上げる世界的な運動とつながっている。「#MeToo」の先駆的なものとして、元日本軍「慰安婦」による告発があったと思う。国家を超えて、性的な迫害や暴行を受けた女性たちの声をきちんと社会が受け止め、戦争を二度と繰り返さないために何ができるかを考え続けなければならない。

ブレない社民党に期待

――社民党について一言お願いできれば。

望月 参院選で社民党が得票率2%の政党要件に達して、ホッとした。

憲法や脱原発、辺野古問題を軸にブレない社民党が国会には必要だと有権者は考えているのではないか。また立憲野党やれいわ新選組と市民の共同の戦いで、32ある1人区のうち10選挙区で勝利するなど一定の成果を上げている。こうした流れを来る総選挙でも前進させてほしい。

「徴用工」の個人の請求権は生きてる
日韓の関係悪化は経済にもマイナス

――2018年10月30日、徴用工裁判で、韓国の最高裁に当たる大法院が新日本製鉄(現新日鉄住金)に対して韓国人4人に1人当たり1億ウォン(約1000万円)の損害賠償を命じた。安倍内閣はこの判決に対して「暴挙」と反発し、対韓国輸出規制強化に踏み込んだが、どう考えるか。

望月 そもそも1965年の日韓請求権協定では外交保護権(個人の請求権を基礎とし外国と交渉する国家の権利)を日韓が相互に放棄したのであって、個人の請求権を消滅させたものではない。そのことは日本政府も認めてきたことだ。

日本政府は徴用工に関する韓国大法院の判決について「完全かつ最終的に解決された」とする日韓請求権協定に違反すると主張する。そして、これは7月3日の党首討論における首相の発言からも明らかだが、その意趣返しとして「ホワイト国」から韓国を除外するという対韓国輸出規制の強化に踏み込んだ。後付けで表向きには純粋に輸出管理だと言い張るが、世耕弘成経済産業相のツイッタ―には、徴用工問題で前進が見られなかったので輸出管理を強化するといった趣旨のツイートもあり、本音がのぞく。

いずれにせよ、現在の日韓の緊張は、日韓の民間の交流や経済活動にものすごいマイナスだ。菅長官はインバウンド(訪日外国人旅行)が全体では増えていると苦し紛れに説明したが、成田空港の入国者数は3割近く減少し、韓国人観光客は明らかに落ち込んでいる。

――韓国の人々が日本に対して懸念しているのは何か。

望月 1910年の日韓併合以降の朝鮮植民地支配について、65年当時の日本政府は合法だと主張し、一方、韓国政府は違法だと主張し、双方の折り合いが付かないまま棚上げされ、65年の日韓請求権協定は締結された。一方、大法院判決は、この植民地支配を違法な人権侵害と認定し、人権侵害行為に対して日本企業が被害者に損害賠償すべきだとの判決を下した。

韓国の人々が懸念しているのは、賠償問題よりも、安倍政権が長期化する中で、日本が朝鮮半島への侵略と植民地支配という加害の歴史を消し去ろうとしているのではないかということだ。加害の歴史を忘れれば、また再び、同じ過ちを繰り返すことになる。

日韓の交流では若者たちがファッションとか文化とかでお互いの親近感の高まりもあって、世代間で共有されている。だから抗議のプラカードにも「NOアベ、でも日本はYes」みたいな区分けをしている

加害の責任を日本が忘れ去ると懸念
日韓請求権協定の腐敗生む「岸信介」

――日韓請求権協定について韓国では調査報道が注目されているが、どのような内容なのか。

望月 韓国JTBCの番組(8月5日放映)では、65年の日韓請求権協定の8億㌦が実際にどう使われたのか詳しく調査報道を行ない、韓国では大変な反響を呼んだ。

日韓請求権協定で日本による援助金は、無償協力基金3億㌦、有償借款2億㌦、産業借款3億㌦の合計8億㌦。日本の外務省は、日本の援助によって韓国経済が発展できたとし、その代表例としてソウル地下鉄や浦項製鉄所の建設を挙げる。徴用工への個人賠償は協定の支援金に含まれ、韓国政府が日本に代わって支払うものだと主張する。

実際のソウル首都圏地下鉄事業はどうだったのか。71年から着工し、建設資金は日本から借りた8000万㌦。4%の金利で、日本企業が作った車両と部品のみを使用するという条件。ソウル首都圏地下鉄を受注したのは戦犯企業の旧財閥系商社が主導した合弁事業だった。89億円くらいの落札が、1年後に日本の旧財閥系商社が材料費の高騰を理由に118億円と40%もアップさせた。調べていくと旧財閥系商社から朴正煕軍事政権の韓国政治家に22億円のリベートが渡っていた。こうした腐敗の枠組みをつくった日韓経済協力委員会のトップが岸信介元首相だった。岸は満州を含めた植民地支配を推し進めたA級戦犯容疑者。その岸の孫が安倍首相だ。番組では、65年当時、日本の国会で社会党議員が「植民地支配の連続ではないか」と追及する国会議事録も紹介していた。

韓国政府が3億㌦の無償協力基金の中から徴用工に支払ったのは、最低でも70万人はいたとされる徴用工のうち、日本の敗戦後に亡くなられた約8500人の徴用工の遺族だけだった。こうした実態をみるとき、日本がいくら日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決された」と主張しても、韓国民衆にとってその協定は一体誰のためのものだったのか、納得できない思いがあるのだろう。

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【表現の自由】 日本国憲法第21条で保障されている権利で、すべての見解を検閲されたり、規制されたりすることなく表明する権利のこと。外部に向かって思想・意見・主張・感情などを表現し、発表する自由が保障される。個人におけるそうした自由だけでなく、報道・出版・放送・映画の自由などを含む。

(社会新報2019年9月11日号より)

消費税率アップ 課題置き去り、見切り発車は許されない

消費税率の10%への引き上げが迫る。政府はまだ「予定」としているが、さまざまな課題を置き去りにした税率引き上げは許されない。参院選において野党は市民連合と政策合意を行ない、「予定されている消費税率引き上げを中止し、所得、資産、法人の各分野における総合的な税制の公平化を図ること」が重要だと訴えてきた。しかし選挙で与党が過半数を占めたことで、政府は引き上げが認められたとばかりにだんまりを決め込んできた。この間一切、疑問や論点には触れず、臨時国会の早期開催要求にも応じなかった。今日もなお世論は引き上げには反対という意見が多数であり、税率引き上げは中止すべきだ。

消費税の引き上げ時期と税率については知られているが、その内容や関連する施策について国民の理解は進んでいない。今月に入り新聞各紙やワイドショーは相次ぎ消費税の特集を組んでいる。消費者も「賢くなろう」「利口になろう」「得をしよう」というわけである。小売店などの中小事業者もレジの更新など手つかずというケースも多く、対応、対策、準備が進んでいないのが現実だという。軽減税率をとっても、この商品がなぜ10%となり、またなぜ8%のままなのか、現場の混乱が心配されている。売り方、買い方によって税率が異なり、理解するには難解で複雑な説明が必要となる。このままでは消費者は「言われるまま」、事業者は「答えられないまま」引き上げられることは明白だ。

「キャッシュレス社会」と聞いたお年寄りが「お金がない貧乏人でもちゃんと暮らせる世の中になるのか」と聞き返したという笑えない話がある。政府はポイント還元制度を「増税対策」と説明しているが、クレジットカードやスマホ、電子マネーなどを利用したキャッシュレス決済を普及させることが本来の目的だ。しかも適用が9ヵ月間に限定され、事務の煩雑さも手伝い、中小事業者の制度導入(申請を含む)も少ない。またクレジットカードを持てる層は限られ、高齢者などの低所得者は実質的に新たな負担を強いられることになる。さらに制度を悪用した「ポイント還元」詐欺が心配され、高齢者が被害者となる危険も指摘される。

臨時国会は来月召集に先送りされ、消費税については議論もなく淡々と進められてきた。閉会中審査として予算委員会、財政金融委員会などを開き議論すべきだ。私たちは税率引き上げの中止を求める。このまま疑問や課題を置き去りにし見切り発車することは許されない。

(社会新報2019年9月11日号・主張より)