(社会新報2021年1月27日号3面より)
第204通常国会が18日、召集された。
菅首相は、新型コロナウイルス対策強化のための新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案(以下、コロナ特措法改正案)と感染症法改正案の成立を急ぎ、内閣支持率の急落に歯止めをかけたい考えだ。
これに対して社民党など野党は、菅首相によるコロナ対策がGo To キャンペーンに引きずられる形で後手後手に回った点などを徹底追及する構えだ。
本欄「通常国会の論点」の第1回では、コロナ特措法と感染症法の改正案の問題点をまとめた。
政府が18日、自民、公明両党にコロナ特措法と感染症法の2つの改正案の原案を提示した。菅首相は同日、国会での施政方針演説でコロナ特措法改正案に関し、「罰則や支援に関して規定し、飲食店の時間短縮の実効性を高める。議論を急ぎ、早期に国会に提出する」と強調しており、2月上旬にも成立させる方針だ。
罰則規定がズラリと
コロナ特措法改正案には、罰則規定がズラリと並ぶ。その骨子は、①緊急事態宣言の対象区域で、事業者に休業や営業時間短縮を命令することができる。命令に違反した場合は50万円以下の過料②緊急事態宣言前の段階でも知事が営業時間の変更を命令することができ、違反した場合には30万円以下の過料③政府対策本部が設置後に臨時の医療施設を開設する④対策を講じる事業者に対し国や地方が支援を講じる義務を明記するという内容だ。
そもそも菅政権は、緊急事態宣言の下で休業・時短の要請に見合う十分な補償を行なっていない。現在の協力金は事業の規模に関係なく、一律に1日最大6万円である。従業員数や売上高の規模によっては、全く不十分な金額だ。事業者に時短要請に協力してもらうためには、罰則を設けるのではなく、営業が継続できる十分な補償を実施することが不可欠だ。補償がまったく不十分なまま罰則のみが先行するのは、順番が間違っている。
刑事罰が差別を煽る
一方、感染症法改正案は刑事罰を盛り込んでいる。その骨子は、①感染者が入院を拒否した場合、刑事罰1年以下の懲役または100万円以下の罰金②保健所の調査を正当な理由なく拒否した場合は50万円以下の罰金という内容だ。
刑事罰の導入に関して、政府は「実効性を担保するため」と説明するが、刑事罰が恐怖や差別を引き起こし、対策への協力が得られなくなる恐れがあるとの反対論が多い。
社民党の福島みずほ党首は6日の会見で、「刑事罰導入に社民党は反対の立場。私権の大きな制限になる。規則に従わないのはさまざまな事情もあるかもしれない」と指摘している。
入院や調査を拒否する事情としては、就労が不可能になることや家庭内の役割を果たせなくなることなど、さまざまなものがある。こうした事情を解消する施策がないままに刑事罰が先行すれば、感染対策への協力を妨げる結果となるのではないか。
医学会が緊急の声明
医療系の複数の学会で構成する日本医学会連合(門田守人会長)が14日、感染症法改正案に刑事罰規定を盛り込むことに反対する緊急声明を公表した。
声明は、現行の感染症法が、かつてハンセン病患者などに著しい人権侵害が行なわれた歴史的反省の上に成立した経緯を深く認識する必要があると強調する。
その上で、①刑事罰や罰則を伴う条項を設けないこと②感染者を受け入れる施設の入院入所に施設間や地域間の格差をなくすこと③入院勧告などの要請に伴う社会的不利益への十分な補償④患者・感染者への偏見・差別行為を防止する法的な規制を求めている。


